もはや「走る」だけが役目じゃない! 災害時にEVやPHVがみせる圧倒的な強みとは? (2/2ページ)

クルマの電動化で電気を安定的に利用できる社会が生まれる

 近年では、ハイブリッド車(HV)でも100Vのコンセントを持つ車種がある。そこから配線を延ばせば、家庭電化製品を利用できる。ただし、通常は車室内のコンセントから延長コードを伸ばすことになり、ドアロックをしても窓ガラスを少し開けておかなければならないなど、不便は残る。それに際し、窓ガラスの隙間に簡易の衝立のような板を挟み込み、そこに設けられた穴から電線を通す用品も生まれている。

 ほかに、車内にUSBジャックがあれば、スマートフォンなどの充電ができる。

 プラグインハイブリッド車(PHEV)、電気自動車(EV)、燃料電池車(FCV)といった、より電気を活用した車種になると、充電口から電線を引いて、家庭電化製品や自宅へ電気を供給することができる。ただしそのためには、追加装備としての装置が必要だ。

 PHEVなど普通充電の口から電気を取り出すには、専用のコネクターや変換装置の接続が必要だ。バッテリー電力は直流で、家庭電化製品や自宅で使う電気は交流だから、直流から交流へ変換しないと使えない。
EVやFCVでは、急速充電用の口から電線をつないで、より本格的な給電を行える機能も用意されている。ただしこの場合は、より重装備となる変換器を接続する必要がある。その価格は50万円前後する。それでも補助金制度がある。

 さらにEVであれば、ヴィークル・トゥ・ホーム(V2H)といって、災害時のみならず日常的に家庭で使う電気を調整・管理できる機器がある。VtoHにも補助金制度があり、導入するならいまがよい機会だ。

 クルマが電動化すればするほど、クルマと暮らしがより密接な関係を持ち、災害時はもちろん日常生活においても、暮らしに不可欠な電気を効率的かつ安定的に利用し続けることができるような社会が生まれるのである。クルマが、移動のための道具だけでなく、暮らしを守る安心装備となっていくのだ。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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