【試乗】新型WRX S4とレヴォーグ STI Sport Rをサーキットで全開! ときに「羊」ときに「狼」の両面を楽しめる (1/3ページ)

モードによるキャラクターの変化幅は大きい

 今回、WRX S4が新型として進化するということで非常に話題になっている。

 2.4リッターに排気量アップした上に強力なCVTのトランスミッションを装着し、独自の四輪駆動AWDシステムを搭載しているということで走りを重視するマニアを中心に注目が集まっているのだ。今回は袖ヶ浦サーキットが試乗コースに選ばれた。路面はあいにくウエットだが四輪駆動ということもあって問題なく走れるはずだ。

 試乗モデルはスポーツグレードのSTI Sport R。エンジンを掛けるとデフォルトではノーマルモードというドライブスモードに設定されている。これはステアリングスイッチでコンフォート、ノーマル、スポーツ、スポーツ+、さらにインディヴィディアルというように切り替えることができる。切り替わる要素としてはエンジンのパワー特性、アクセルレスポンス、トランスミッションの変速タイミングそしてステアリングのレシオがクイックに切り替わる。

 今回ダブルピニオンのパワーステアリングとなり、しかも電動ということでその特性を劇的に変えることができているようだ。加えてサスペンションのダンパー特性も変化するということで、幅広い走行コンディションに適応させることができる。

 まずノーマルモードで走り出すとクルマとしては非常に穏やかな特性でエンジンもマイルドな感じで静かで普通の乗用車として使える感じに仕上がっている。WRXという名前が付くとちょっと身構えてしまうような印象があるが、決してそうではなく、普通の乗用車として扱いやすい特性で特別なクセを感じさせない状態になっていた。

 コンフォートモードに切り替えるとアクセルレスポンスがさらに穏やかになり、パワーが低くなったような印象を受ける。足まわりが柔らかくなるため、市街地や悪路、雪道などを走るような時にはこのモードでもいいのかなと思わせる面がある。

 タイヤが徐々に温まるにつれて、スポーツ、スポーツ+と切り替えていく。スポーツ+にするとギヤが2段階ぐらいローギアに切り替わり、エンジン回転数が高まると同時にアクセルのピックアップレスポンスも大幅に向上してWRXらしい猛々しい走りに変貌をする印象を受ける。

 それをさらに強めているのがステアリングだ。ちょっとしたハンドルの切り込みに対して過剰なほどフロントがレスポンスして回頭性を高めるというようなキャラクターが与えられている。路面がウエットなのでこのフロントのゲインに対してリヤの追従が追いつかないほどで、時にはリアがスライドしオーバーステアでカウンターを当てて走るような走行シーンになることがある。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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