強すぎるトヨタの国内販売! そんななかトヨタに唯一勝ったクルマとは? (2/2ページ)

無敵のトヨタに思われるが、それでも敵わないジャンルとは

 その一方で車種は少ないが、トヨタ車よりも多く登録される他メーカーのライバル車もある。コンパクトミニバンのホンダフリードだ。2021年11月には5144台を登録して、トヨタシエンタの3808台を上まわった。2021年1〜11月の累計登録台数もフリードが多い。

 現行フリードの発売は2016年、シエンタは2015年だ。両車ともに設計が古くなったが、フリードはホンダの基幹車種に位置付けられ、堅調に売られている。

 この背景には、ホンダのブランドイメージの変化がある。今は国内で新車として販売されるホンダ車の50%以上が、N-BOXなどの軽自動車だ。ホンダのブランドイメージもダウンサイジングした。

 その結果、今のホンダの売れ筋車種は、小型/普通車でも全長は4400mm以下、エンジン排気量も1.5リッター以下だ。ミドルサイズミニバンのステップワゴンは、今のホンダのブランドイメージに合わず、ユーザーをフリードに奪われた。今のホンダの小型/普通車販売は、フリード、フィット、ヴェゼルに集中している。

 一方、トヨタの場合は、ミニバンではヴォクシーとアルファードが好調に売られている。コンパクトで車内の広い車種としては、2列シートながらルーミーが2021年11月に1万1654台を登録した。カローラシリーズとヤリスシリーズをボディタイプ別に分類すると、1種類のボディだけで1万台を超えるルーミーは、実質的に小型/普通車のベストセラーだ。

 以上のようにトヨタでは、販売の好調なミニバンや車内の広いコンパクトカーが豊富にあるから、シエンタの売れ行きが下がった。また現行シエンタは今まで堅調に販売され、2019年の登録台数ランキングは、1位が現行プリウス、2位は先代ノート、3位が現行シエンタであった。需要が一巡して最近は失速状態になっている。

 このほかのカテゴリーは、軽自動車を除くと、いずれもトヨタ車が1位だ。2021年11月にはノートが上位に入り、ハイブリッド専用車としてはアクアよりも多く登録されたが、ノートには3ナンバーサイズのノートオーラもある。

 ハイブリッドの販売1位と見るには、少々無理があるだろう。そうなるとトヨタ車とのライバル競争で明らかに勝っているのは、実質的にフリードのみになるわけだ。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
-

新着情報