1980年代に若者が憧れたのは国産クーペだった! 羨望の眼差しで眺めるも「手が出なかった」クルマ4台 (2/2ページ)

若者は「私をスキーに連れてって」の影響をモロに受けた

3)トヨタ・セリカ(初代GT-FOUR)

 さて、1980年代に若者文化に影響を与えた映画が「私をスキーに連れてって」だ。原田知世が主演した、この青春ムービーではクルマは若者の必須アイテムと位置づけられ、劇中でも大いに存在感を発揮した。そのクルマこそ、トヨタ・セリカGT-FOUR(初代・ST165型)である。映画の中では白と赤、2台のセリカGT-FOURが登場したが、印象深いのは白の方。クライマックスでのカーアクションシーンは語り継がれるレベルでインパクトがあった。また、スポーツマフラーを装着するなどライトチューンを施されていたのも、チューニングムーブメントの盛り上がっていくタイミングと合わせて、若者が憧れるクルマになっていった。

 セリカGT-FOURはWRC(世界ラリー選手権)でも活躍したクルマだが、おそらく1980年代の若者は、WRCより「私スキ」のクルマとして認識していたはずだ。ちなみに、当時の新車価格は297万6000円。いまの基準で考えると非常にリーズナブルにも思えるが、はっきり言って1980年代に20代の若者が手軽に買えるような金額ではなかった。

 リアルに若者が狙えたのは、同映画におけるもう一人の主役、三上博史が劇中で乗っていたカローラIIリトラGPターボ(147万8000円)のほうだった。

4)ホンダ・プレリュード(3代目)

 いまでは信じられないかもしれないが、1980年代のクルマというのはモテるためのツールだった。実際“デートカー”というジャンルがあったほどだ。その代表モデルであり、頂点といえるのが1987年にフルモデルチェンジした3代目のホンダ・プレリュード。4輪ダブルウィッシュボーンのサスペンションによる低いノーズと、それを強調するリトラクタブルヘッドライト。トップグレードには2リッター4気筒DOHCエンジンを載せるなどスポーティな面もあったが、ユーザーニーズは完全にデートに誘うためのスタイリッシュなクーペという部分にあった。

 それでも222万5000円というメーカー希望小売価格は、とても手が届くものではなく、憧れの存在だった。リアルな若者は、フルモデルチェンジしたことで買いやすくなった先代プレリュードを中古車市場で探したものだ。

 なお、このプレリュードをキャッチアップしようと生まれたのが、日産のS13型シルビア。いまではドリフトマシンのイメージが強いかもしれないが、シルビアはプレリュードを追い落とすことが使命だったのだ。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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