ロケットみたいなフィンのやたらデカいクルマ! 昔のアメ車が「ド派手」だったワケ (2/2ページ)

名実ともに世界一となったことでクルマもゴージャスに!

 それにしても、なぜこうした特殊なエクステリアデザインが50年代から60年代にかけて流行したのだろうか?

 そんな疑問を解き明かしてくれるのが、ミシガン州デトロイト近郊のディアボーンにあるフォードミュージアムだ。この地域には、フォード本社や関連する研究開発拠点などが数多い。

 フォードの自動車博物館といっても、フォードだけの歴史を紹介するのではなく、フォード以外のクルマの展示も含めたアメリカの自動車産業全体が分かる。また、長年に渡りモータウン(モータータウン)と呼ばれてきた米自動車産業の集積地であるデトロイトの歴史を知る上でも、ここは貴重な施設だと思う。

 そんなフォードミュージアムをゆったり歩いてみると、アメ車の歴史が戦後に大きく変わったことが肌感覚で理解できる。

 戦後、アメリカは政治でも経済でも、世界ナンバーワンを強く意識するようになる。その上で、経済発展のためには庶民の生活レベルの向上を重要視した。具体的には、全米をつなぐフリーウェイ構想に着手し、それに沿うように郊外型の新興住宅地の建設ラッシュとなった。

 そうしたアメリカンなライフスタイルに合わせたクルマ作りを、自動車メーカー各社が始める。「クルマはステイタスシンボルである」という発想から、よりゴージャスに、より大きくという発想が加速していく。
ライバルメーカーがボディの大型化を発表すれば、さらに大きく派手なボディ形状を、といったメーカー間の競争が激しくなった結果、現代社会では考えられないようなエクステリアデザインが量産されることなる。

 60年代になると、クルマの多様化が進み、また、空力性能などもクルマの設計要件として重視されるようになり、50年代の巨大なアメ車ブームは終焉する。


桃田健史 MOMOTA KENJI

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