主役をトヨタがさらうのかそれとも? 電気自動車バトルを担う「今買える」国産EV (2/2ページ)

国産主要自動車メーカーがそれぞれのEVを擁立

 それでもトヨタが前述の発表をしたことで、電気自動車が身近な存在になってきた。国産メーカーの電気自動車は以下の通りだ。

 まず日産リーフがある。全長が4480mmのミドルサイズハッチバックで、リチウムイオン電池は2種類を用意した。1回の充電で走行できる距離は、リチウムイオン電池の総電力量が40kWhの場合、WLTCモードで322kmになる。62kWhは458kmだ。

 日産ではアリアも販売している。全長が4595mm、全幅は1850mmのSUVで、現在売られているB6とB6リミテッドの場合、リチウムイオン電池は66kWhで470kmを走行できる。

 レクサスUX300eは、コンパクトSUVのUXをベースにした電気自動車だ。全長は4495mmで、全幅は1800mmを超えるものの、リーフに近いサイズになる。リチウムイオン電池の総電力量は54.4kWhで、1回の充電により、WLTCモードで367kmを走行できる。

 トヨタでは小型電気自動車のC+podのリース販売も開始した。全長が2490mm、全幅は1290mmに収まるふたり乗りだ。リチウムイオン電池の総電力量は9.06kWhで、WLTCモードにより150kmを走行できる。最高速度は時速60km以下とされ、高速道路は利用できない。その代わり最小回転半径も3.9mに収まり、街中での移動に最適だ。

 ホンダも街中の移動に重点を置いたコンパクトなホンダeを投入している。全長が3895mmのボディは、後部にモーターを搭載して後輪を駆動する。35.5kWhの駆動用電池を搭載して、283〜259kmを走行できる。

 マツダにはMX-30のEVモデルがある。観音開きのドアを備えた全長が4395mmのボディに、総電力量が35.5kWhのリチウムイオン電池を搭載する。1回の充電で256kmを走行できる。

 日本では電気自動車が少数派とされるが、主要なメーカーは、各1車種は用意している。2022年には日産と三菱から軽自動車サイズの電気自動車も加わり、品ぞろえがさらに豊富になる。

 電気自動車の世界観では、クルマは買い物などの短距離移動に使い、長距離の外出には公共交通機関を利用する。つまり、パーク&ライド。自宅から駅までクルマを使い、駐車場に入庫して電車に乗り替える移動方法になる。そこを踏まえると、1回の充電で走行できる距離が短くても、ボディはコンパクトで軽く、街中での使い勝手と電力消費量を抑えた方が合理的だ。軽自動車サイズの電気自動車は、その本質を突いている。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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