バカ売れ確実な新型ノア&ヴォクシーはどう選ぶ? ミニバンマイスターの結論は「最上級グレードを買え」だった! (2/2ページ)

最上級グレードは激推しに値する

 また、駐車支援のアドバンストパークの機能もすごい。かなり早いスピードで正確に自動駐車してくれるだけでなく、スマートフォンの操作での出庫も可能。まるで新型ノア&ヴォクシーがRCカーのように動いてくれるのだからびっくりだ。さらに、全グレードにオプションのブラインドスポットモニターと連動する、安心降車アシストを新採用。これはスライドドアからの降車時、後ろからクルマや二輪車が迫り、解放後のドア、乗員が接触する可能性があるとシステムが判断した場合、パワースライドドアの途中停止、または開操作をキャンセルしてくれるいたれりつくせりの先進安全機能。こうした点でも攻めに攻め切っているのが、ライバル震撼の新型ノア&ヴォクシーなのである。

 では、そうした点を踏まえて、新型ノア&ヴォクシーのベストバイグレードを検証したい。

 まず、基本は7人乗りと考えたい。というのは、先代の2列目キャプテンシートは超ロングスライドこそできたものの、中寄スライドが必須。そのままスライドすると、シート外側のシートリクライナーがリヤホイールハウスに干渉してしまったからだ。が、新型ではシートリクライナーを内側に移動したことで、中寄することなく745mmもの超ロングスライドを実現。よって、超ロングスライド時でも折り畳みテーブルが使え、シートが外側寄りにあるためカップホルダーに手が届きやすいといったメリットが生まれている。なお、超ロングスライド時の驚愕のニースペースは、先代とまったく同じである(身長172cmの筆者基準で最大約600mm)。オプションでシートヒーター、オットマンが付けられるのはともかく、新型では7人乗りを激推しする。

 で、ノアのベストバイグレードだが、今やクルマの電動化に向かっている時代だから、AC100V/1500Wコンセントの用意もあるハイブリッド、7人乗りを基本とし、新型らしさを最大限に享受するなら、標準装備、オプションの選択肢の広さから、最上級かつエアロ系で、2WDなら17インチタイヤ装着となる(ほかは16インチ)、カッコ良さでも際立つS-Z、その標準顔、顔のギラギラ感が薄まるZ(16インチタイヤ)のどちらかだ。ただ、その差額は8万円でしかない。では、エアロ系、16インチタイヤ装着のS-Gはどうかといえば、あれば絶対に便利な両側パワースライドドアがオプション(助手席側のみ装備)で、付けると6万2700円。ハイブリッド車だから欲しい、地震大国、災害大国の日本では保険代わりにもなるAC100V/1500Wコンセントもまた、標準装備のS-Zと違い、4万4000円のオプションとなる。

 それを追加装備したとすれば、車両本体価格の差28万円がグッと縮まり、その上で3ゾーンオートエアコン(S-Gはリヤクーラー)、マルチインフォメーションディスプレイの大きさや、シート地、折りたたみ式テーブルの大きさ、USBソケット×2、バックガイドモニターの有無などでS-Zが俄然、優位になるのだから、結果、最上級グレードのS-Zがベストバイ、もっとも新型らしさを味わえるグレードというしかないだろう。

 一方、S-ZとS-Gの2グレードとなるヴォクシーは、ハイブリッド、2WDで見ると、価格差は30万円。が、S-Zに標準装備されるオラオラ顔を強調するプロジェクター式LEDヘッドランプ(6万2700円)、実用上あると絶対に便利なデュアルパワースライドドア(6万2700円)、バックガイドモニター(1万6500円)、そしてアウトドアや災害時に不可欠と思えるAC100V/1500Wコンセント(4万4000円)をS-Gに付けたとすると、差額は11万4000円でしかなくなってしまうのだ。もちろん、全体的な仕様、装備、オプションの選択肢の幅が広いといったメリットもS-Zにある。つまり、新型ノア&ヴォクシーともに、最上級グレードを、ぜひ乗ってもらいたいグレードとして、戦略的価格に設定しているということだろう。

 新型ヴォクシーのハイブリッド車の場合、S-ZとS-Gが30万円の違いでも、5年間乗るとして、年間6万円の差額(S-Gに上記のオプションを付けると年間1万9000円の差額)で、もっとも新型らしい機能、装備に満足できるとすれば、決して法外な価格差ではないと思える。

 が、よりリーズナブルかつ先進機能充実でヴォクシーを手に入れる方法もある。

 デュアルパワースライドドアなどは諦めた上で、S-Gのガソリン車、2WD、7人乗り(309万円)にブラインドスポットモニター、アドバンストドライブ、安心降車アシスト、緊急時操舵支援機能などを含むパッケージ(13万4200円)をオプション装着した、322万4200円の仕様である。もちろんトヨタセーフティセンスが全グレードに標準装備だから、先進運転支援機能は文句なしとなる。

 なお、試乗前のタイミングなので、16/17インチタイヤによる乗り心地や操縦安定性の差については、一切加味していないことをお断りしておく。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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