フェアレディZは庶民が買えるクルマとして誕生? 新型の700万円弱という価格は高いのか安いのか (2/2ページ)

スポーツカーとしては身近な存在と解釈すべき

 60年代後半当時、大衆車のサニーは46万円から、小型セダンのブルーバード510は64万円から売り出されたが、新車を買うことはまだ一般的ではなく、サラリーマン家庭の拙宅では30万円ほどの中古車を購入することさえ決意を持って臨む一大事だった。したがって当時のフェアレディZは、少なくとも日本で誰もが買える金額ではなかった。高性能仕様のZ432でもトヨタ2000GTより安い182万円だったが、Z432は、はるかに遠い雲の上の存在であった。

 ちなみに、一時生産が中断したあと2002年に再登場したZ33は、当時400万円を切って売り出され、アフォーダブルという価値を体現していた。初代Zに次いで、世界でもっとも販売台数が多かったとされる。それに比べるとやはり新型Zは、標準車がのちに売り出されても安いとはいいがたいのかもしれない。意見のわかれるところだろう。

 世代を超えて、米国でもっとも売られたZが、新型となって米国でどれくらいの台数をさばけるかが車両価格の基準になっているはずだ。アフォーダブルの意味は、誰にでも、というより、スポーツカーとしては身近な存在と解釈すべきだろう。

 東京都内など、1000万円近い輸入車が数多く売れている市場動向からすると、歴史的な裏付けを持つスポーツカーのZが、700万円を切って販売されることは意味があると思う。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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