メーカー自ら旧車を直す! クルマ好きが絶賛する「レストアプログラム」は本当に正義なのか (1/2ページ)

この記事をまとめると

■伊藤かずえさんが所有するシーマのレストアを日産が担当したことが話題になった

■日本でメーカーがレストアプログラムを用意しているのはわずかな車種のみ

■欧州では自社のクルマをレストアしてお墨付きを与えるプログラムが確立している

日本の自動車メーカーがレストアを請け負うのは異例

 昨年話題になった1台に、女優の伊藤かずえさんが所有する初代シーマがあった。日産自身がレストアを担当することになり、グループ会社のオーテックジャパンが作業を担当。完成後は東京銀座のショールームで公開された。

 ただし、これはイレギュラーなケース。日本のメーカーやそのグループ会社が公式にレストアを引き受けているのは、初代NSX、R32〜R34のスカイラインGT-R、マツダの初代ロードスターぐらいに限られている。一方海外では、フェラーリクラシケやポルシェクラシックなど、メーカー自身が再生を手がける例が増えてきた。どちらも一定の年式より前のモデルはすべて対応してくれるようだ。

 新車を作って売るのが本業のメーカーがなぜ、ここまで大規模にレストアを手がけるのか。理由のひとつはブランドイメージを高めることにつながるからだ。最近になって日本のメーカーもこのことに気づきつつあるけれど、それでもまだ新車を売ることに軸足が置かれている。旧いクルマが増税になるという自動車先進国では異例のルールに文句をつけるメーカーは皆無なわけだし……。

 一方の欧州は、ブランドは文化なのだから新車を売るだけでは伝えきれない部分があると考えているのだろう。以前に取り上げたポルシェのエクスペリエンスセンターもそうだが、ブランドのなんたるかをわかっているのだ。

 それとともに、ビジネスの幅が広がる点も見逃せない。クラシックフェラーリやポルシェのオーナーは、時間にもお金にも余裕がある人が多い。旧いクルマはパーツ確保も作業も時間がかかるけれど、その分の収益は得られる。


森口将之 MORIGUCHI MASAYUKI

グッドデザイン賞審査委員

愛車
1971シトロエンGS/2002ルノー・アヴァンタイム
趣味
ネコ、モーターサイクル、ブリコラージュ、まちあるき
好きな有名人
ビートたけし

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