名前を聞けば「そういえばあった気も……」レベル! ハッキリ言って不人気だけど「中身は一級品」の日陰のクルマ4台 (2/2ページ)

欧州仕込みの味付けは隠れファンが多かった

コンパクトカー:スズキ・スプラッシュ(2008年)

 スズキのコンパクトカーで、ハンガリーの工場から輸入されていた。全長が3715mm、全幅は1680mmという数値は、コンパクトカーの中でもとくに小さい。

 ところが全高は1590mmと高く、前後席の着座位置も持ち上げた。そのために乗員の足が前方へ投げ出されず、短い室内長でも窮屈感は生じなかった。

 そしてハンガリー製とあって、足まわりの設定は欧州仕様と共通だ。乗り心地は硬いが、機敏に良く曲がり、なおかつ走行安定性も優れていた。当時のコンパクトカーとしては安全装備も充実しており、販売は低迷したが、限りなく欧州車に近い日本車だった。

ミニバン:スバル・トラヴィック(2001年)

 スプラッシュが欧州車に近い日本車だとすれば、トラヴィックは日本車として売られた欧州車だ。基本的にはGM(ゼネラルモーターズ)の傘下に入るオペルのザフィーラと同じクルマで、GMのタイ工場で生産された車両を輸入することにより、スバル・トラヴィックとして販売した。当時のスバルはGMと提携していたから、この企画が持ち上がった。

 スバル車のユーザーは、水平対向エンジンや4WDなど、個性的な技術を重視して購入する。したがって今も昔も、スバルではOEM車は売れ行きを伸ばせない。トラヴィックも失敗に終わったが、基本はザフィーラと同じだから商品力は高かった。3列目のシートは狭いが、1/2列目は座り心地を含めて快適で、走行安定性と乗り心地のバランスも優れていた。

 しかも1.8リッターエンジンを搭載しながら、ベーシックなグレードの価格は198万円と割安だ。ザフィーラとは装備などが異なるが、価格はトラヴィックが60万円以上も安かった。

軽自動車:三菱 i(2006年)

 卵型のボディを備えた個性的な軽自動車で、エンジンは後部に搭載されて後輪を駆動する。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)は、軽自動車で最長の2550mmを確保して、現行N-BOXよりも長い。ホイールベースが同車を上まわる軽自動車は、今でも登場していない。

 後部にエンジンを搭載するから後席と荷室は狭かったが、長いホイールベースで走行安定性と乗り心地は優秀だった。電気自動車のiミーブにも発展している。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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