【試乗】単なる高級SUVにあらず! レクサスLXは市街地からガチオフロードまで圧倒的な使い勝手だった (2/3ページ)

大柄ボディでも市街地で苦痛を感じることなし!

 ステアリングのギヤ比が若干早められ 最初回転半径は6mとトレッドが広がった分ランドクルーザーよりは少し大きくなっているが、それでも市街地の取り回し性は極めてよかった。角張った車体デザインは四隅みの見切りが良く、またパノラミックビューモニターなどの機能が備わっていて狭いコンビニの駐車場の出し入れなどでも特段の不便を感じることがないのはさすがといえるだろう。伝統的な2850mmのホイールベースを継承していることは市街地での取り回し性にも貢献しているのだ。

 22インチの大径ホイールとダンロップ製専用タイヤを装着していることによりバネ下重量は1輪あたり40〜50キロと重く、そういう意味において運動性能で軽快感は感じにくいが、レクサスブランドとしての安定感と乗り心地は充分に感じられるものといえるだろう。

 ドライブモードはノーマル、スポーツ・スポーツプラス、またコンフォートさらにエコと個別に設定ができる。 多彩なセッティング機能が備えられているが、しかしその変化しろは、あまり大きくはない。市街地での走行速度は40キロから60キロあたりで、この速度域ではトランスミッションのロックアップ機能が頻繁に作動し 若干それに伴う変速振動が感じられる。これは駆動力を悪路でしっかり発揮するために、あえてトルコンスリップを多めに設定していることや、クリープトルクを強め低回転ではロップアップせずにパワー/トルクを十分引き出してからロックアップさせるというような悪路走破性中心の考え方が影響を及ぼしているのだと言う。

 ボディーはアルミ製ボンネットやフェンダー、ドアパネルなど多くの軽量パーツが使われ 軽量化も図られているが、ラダーフレーム自体は伝統的な鋼鉄製であり、そこにブッシュとボルトで車体がボルトオンされている。その締結剛性などにより若干乗り味が変わるということだが、特にレクサス車は防振や快適性を重視してブッシュの締結剛性を採用している。その為、ラダーフレームとボディ剛性のしっかりとした剛性感を感じつつも伝統的な乗り味も継承されているというわけだ。

 またライドハイドコントロールはノーマル、H1、H2そしてLOWの4段階に切り替えることができる。乗降するときには一番低いLOWを選択すると最低地上高が200ミリ前後となり、オフロードを走る時は最も高いH1を選択することでロードクリアランスは275ミリの最大値となり、最深渡河性能でも700ミリが確保されるという。それらはマニュアルで操作することも可能だがオフロード走る場合はMTS(マルチテレインセレクト)を選択すれば自動的にH1の最大車高が設定されるという。こうしたオフロードアイテムはエグゼクティブからオフロードまですべてのグレードに共通する装備であり、悪路性能面では差別化が図られていない。

 次に 標準グレードのLX600に試乗してみる。標準モデルは3列シートが選択でき、試乗車は3列シート仕様だ。3列シートがあるのはいざという時には非常に便利だが、実際に乗車してみるとそのスペースは決して充分であるとは言えない。足もとは狭くヒップポイントも低い。ヘッドクリアランスもミニマムなのでエマージェンシー的な扱いというレベルで考えた方がよい。また3列目シートは電動で立ち上げることができるが、乗降アクセスにはセカンドシートの可倒操作が必要で、その操作性は良くない。扱いに慣れてくればあまり気にならなくなってくるのだろう。

 走り味はエグゼクティブと変わらず、静粛性や操縦安定性、快適性その他も同じで、レクサス車としてのクオリティが感じ取れるものだった。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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