GT-Rから新型ZへスイッチしたGT500! シャシーは踏襲も小顔化の効果は絶大だった (2/2ページ)

ドライバーも「小顔効果」を体感

 このように2022年に登場したZ GT500は、まさにスーパーGT専用のスペシャルマシンで、昨年までTOM’Sで活躍し、2022年はROOKIE RACINGに移籍したエンジニアの東條力さんも「GT-Rはトップスピードがあまり良くなかったんですけど、Zになったことでドラッグが減ったんでしょうね。富士のテストではGRスープラよりトップスピードが上がっていました。その一方で、岡山のテストでもタイムは良かったのでダウンフォースも確保している。うまいことまとめてきたなぁ……という印象です」とのことで、ライバルチームのエンジニアも注視しているようだ。

 事実、デビュー戦となった岡山でも松田次生選手/ロニー・クインタレッリ選手がドライブした23号車「MOTUL AUTECH Z」が素晴らしいパフォーマンスを披露。予選は9位に留まったものの、決勝では驚異的なオーバーテイクを重ねて見事3位に入賞し、表彰台を獲得したのだが、果たしてドライバーはZ GT500にどのような印象を抱いているのか?

 というわけで、23号車を担当するドライバーのひとり、松田選手に気になるインプレッションを聞いてみた。

 ――まず、Z GT500は、どんなクルマですか?

松田選手:乗りやすいクルマですよ。フロントの回頭性も良いので、フィーリング的にはいいですね。

 ――昨年までの主力モデル、GT-Rと最も違うところはどこでしょうか?

松田選手:やっぱり空力です。GT-Rはボディが大きいのでドラッグが大きかったですけど、Zになってコンパクトになったことがプラスになっていますよね。

 ――おっ、小顔効果を体感してるんですね。ちなみに量産モデルの新型フェアレディZにも乗られていると思うんですけど、GTカーにもZらしさを感じる部分はあるんでしょうか?

松田選手:量産モデルのZはフロントが機敏に曲がって、小回りができるし、新型モデルのエンジンはツインターボでパワーもあるから、ドリフトっぽいドライビングもできるんですけど、そこはGTカーも共通点がありますね。

 ――なるほど。ところで総監督の松村さんが“鈴鹿でカッコいい走りを見せたい”とおっしゃっていましたが、ドライバーから見てZ GT500の得意そうなサーキットはどこでしょうか?

松田選手:走ってみないと分かりませんが、鈴鹿は得意だと思いますよ。あとは岡山もそうですが、オールマイティに仕上がっていると思うので、どこに行っても速いと思います。

 ――確かに開幕戦の岡山で第2スティントを担当した松田選手はむちゃくちゃ追い上げていましたね?

松田選手:土曜日の予選はタイムが出るタイヤじゃなかったので、悔しいQ1落ちだったですけど、その分、決勝ではすごく追い上げられたので良かったです。

 ――まるでテレビゲームのようにオーバーテイクしていましたが、気持ちよかったですか?

松田選手:チャンスをものにしないといけないと思っていました。ここだ! という部分でオーバーテイクできて良かったです。何台ぐらい抜いたのか、わかんないぐらい抜けたので良かった。

 ――この一戦でかなり手応えを掴んだんじゃないですか?

松田選手:クルマもタイヤもレースに強かったので、予選でも前に行けるように頑張っていきたいと思います。

 まさに優勝こそ逃しはしたものの、デビュー戦でまずまずのスタートを切ったZ GT500。とはいえ、熟成を極めたGRスープラもパフォーマンスが高く、14号車「ENEOS X PRIME GR Supra」がポール・トウ・ウインを達成。さらにNSXタイプSにベース車両を切り替えたホンダ勢も強く、100号車「STANLEY NSX-GT」が2位入賞を果たすなど、ライバル勢も強いだけに、2022年のスーパーGTでもGT500クラスでは日産VSトヨタVSホンダの三つ巴のバトルが続くに違いない。


廣本 泉 HIROMOTO IZUMI

JMS(日本モータースポーツ記者会)会員

愛車
スバル・フォレスター
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登山
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