「安いグレード」のほうが走りがいい場合もある! 同じ車種でサイズ違いのタイヤが用意されているクルマの選び方 (2/2ページ)

ベースグレードの方が走りの印象がいいクルマも!

 そんなエピソードを紹介すると、たとえば16インチと17インチタイヤを履き分けるクルマの場合、大径17インチのほうが圧倒的によい印象を受けてしまうが、逆の例もある。それがホンダのBEV、ホンダeだと思っている。ホンダeにはモーター出力154馬力、32.1kg-mを発揮する上級のアドバンスと、モーター出力136馬力、32.1kg-mを発揮するベースモデルの2種類のグレードがあり、アドバンスのタイヤはミシュランパイロットスポーツの17インチ。対してベースグレードはヨコハマ・ブルーアースAの16インチという履き分けがある。

 結論から言えば、ベースグレードの16インチタイヤ装着車のほうが、車重減もあって都市部での走りの軽快感が高まり、より爽やかな走行感覚を実現しているとともに、素晴らしくしっとりマイルドな上級感ある乗り心地を示し、またロードノイズも低減。より静かなのだ(サイズだけでなく、タイヤのキャラクターによるところも大きい)。静かで快適に走る乗用BEVらしさという点では、迷うことなく、16インチタイヤを装着するベースグレードに軍配を上げたいとリポートしたぐらいである。余談だが、ヨコハマ・ブルーアースAのバランス性能に感動し、その直後、愛車にもヨコハマタイヤを履かせたぐらいであった(アドバンデシベルだが)。

 ちなみに筆者の愛車はVWゴルフヴァリアントだが、タイヤサイズは16インチと17インチが基本。しかし乗り味の差は大きく、ドイツ車らしい、ゴルフらしい乗り味を示してくれるのは間違いなく17インチのほう。ゆえに筆者のゴルフヴァリアントも17インチタイヤ装着グレードであり、満足している。

 よって、新車購入時のグレード選びで、乗り心地と操縦安定性のハイバランスにこだわるのであれば、設計基準のタイヤサイズを選ぶのが正解だが、販売店のセールス氏がその情報をもっているかは分からない。なので、 WEB CARTOP、CARトップを始めとする自動車専門媒体の試乗リポートが参考になると思う。その上で、ぜひ、そのクルマに最適なタイヤを履くグレードを選んでほしい。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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