新型7シリーズで過去最大級に成長したBMWのグリル! でっかい「キドニーグリル」はアリかナシか? (2/2ページ)

巨大グリルによるBMWのデザインはこれからが本当の見せ場

顔はあくまでボディの一部

 さて、新型BMW7シリーズについもうて一歩踏み込んで考えたいのは、「顔」とボディのマッチングである。

 当たり前だが、同じ大きなグリルであっても、それがどういうボディと組み合わされるかでスタイリングの評価は変わってくる。その点で見てみると、4シリーズやM3は、従来の流麗なクーペやセダンボディのフロントに、あたかも「壁」のごとく巨大グリルがそそり立っているかのようで、そこに大きな違和感がある。

 また、iXはグリルに負けないような大きいSUVボディではあるが、基本的には全体が滑らかな曲面で構成されており、やはり平面的な巨大グリルが浮いて見えてしまう。

 では、肝心の新型7シリーズはどうか。お気付きの方もいると思うが、BMWのデザインは先日モデルチェンジされた新型2シリーズクーペから路線変更の兆しが見える。具体的には、従来より縦方向の立体感が強調されていて、有り体にいえばボクシーな要素が強くなっているのだ。

 新型7シリーズではそれが一層明確になっていて、高い位置に一直線に引かれたショルダーラインをはじめ、よりボクシーなイメージが強い。つまり、大きく四角いキドニーグリルに対し、これまでのシリーズのなかでもっとも相性がいいのである。しかも、グリルは平面ではなく、下段のランプのラインに沿って「折り」が施され、過剰な圧迫案が軽減されている。

 4シリーズの発表時、デザイン責任者は1930年代の「BMW328」、1960年代の「BMW1600」や「BMW 2002」でもグリルを縦型にしてキャラクターを際出たせていたとし、新しい表現の継続性を強調した。仮にそれに意味があるとしても、グリルだけを引っ張り出すのではなく、同時にボディ全体の「改革」も合わせて進めるべきだった。

 つまり、新型7シリーズが発表されたいま、巨大なグリルによるBMW車のデザインは、これからが本当の見せ場になるのである。


すぎもと たかよし SUGIMOTO TAKAYOSHI

サラリーマン自動車ライター

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いすゞFFジェミニ4ドア・イルムシャー(1986年式)
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オヤジバンド(ドラムやってます)/音楽鑑賞(ジャズ・フュージョンなど) /カフェ巡り/ドライブ
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