乗降性の良し悪しはボディブローのように効いてくる! Sクラスミニバン&プチバン4台をガチ比較した (1/2ページ)

この記事をまとめると

■人気ジャンルのSクラスミニバン4台の後席を徹底比較

■Sクラスミニバンは小さいが故にシートのサイズなども乗降性に大きく関わる

■極端な差がないので走りで選ぶのもアリな車格となっているのも特徴的だ

5ナンバーサイズが人気なSクラスミニバンを徹底比較

 先日、Mクラスボックス型ミニバンの、ミニバンとしての重要項目のひとつ、スライドドアからの乗降性比較の記事を書かせてもらったばかりだが、今回はそれに続き、ホンダ・フリード、トヨタ・シエンタの2モデルが揃うSクラスミニバン、そして2列シートながら、プチバンと呼べる両側スライドドアを備えたスズキ・ソリオ、トヨタ・ルーミー/ダイハツ・トールのスライドドアからの乗降性を比較してみたいと思う。

 あえてスライドドア車を選ぶ最大の理由が、後席の乗降性の良さだからである。そして、ステップ高、スライドドア開口部はもちろん、乗り込んでからの着座性、立ち上がり性(シート位置)についても、筆者の実測、乗車経験から報告することにしたい。

 まずはSクラスミニバンから。フリードとシエンタの2台の対決だ。ちなみに2022年5月の乗用車販売台数ランキングでは、フリードが4位、シエンタは7位と、ともに大検討している。

 乗降性にかかわる”入り口”はスライドドア開口部だ。

 フリードはワンステップの掃き出しフロアとなるステップ高が390mm。スライドドア開口部そのものは幅665mm、高さ1165mm。対するシエンタは同じくワンステップの掃き出しフロアとなるステップ高が330mm。

 スライドドア開口部は幅670mm、高さ1135mm。つまり、ステップ高としてはシエンタのほうが低く、頭の通過性に関わるスライドドア開口部高ではフリードが30mm高いことになる。足腰の弱った小柄な高齢者であればシエンタが優勢、一般的な背の高さの健常者であればフリードが乗り込みやすいということになりそうだ。

 しかし、後席の乗降性の良否は、スライドドア部分のステップ高、開口部の広さだけでは語れない。

 実際に乗り込んでみるとわかるのだが、スライドドアから車内に乗り込んだ後のシートの着座性、立ち上がり性が、とくに足腰の弱った高齢者の乗降性のポイントとなるのである。そこでの指標となるのが、フロアからシート座面先端までの高さ=ヒール段差である。

 これが高めだと、乗車時には腰の移動量が少なくて済み、立ち上がる際も、ローソファとダイニングの椅子でどちらが立ち上がりやすいかと同じで、降車性に優れることになる。

 で、2列目席ヒール段差はフリードが305mm(キャプテンシート/ベンチシートは310mm)、シエンタが340mmとなり、より足腰の弱った高齢者向きなのは、シエンタということになる。340mmはなかなか高めの数値と言っていい。なお、両車の2列目席シートサイズはほぼ同じだが、シエンタのFF車は2列目席ベンチシート、フリードの2列目席は贅沢なかけ心地となるキャプテンシートとベンチシートの選択が可能だ。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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