これなら娘だけじゃなくてパパも使える! ついにターボも設定された「ダイハツ・ムーヴキャンバス」の進化っぷりが圧巻 (2/2ページ)

エンジンがターボになっただけではない!

 だが、インテリアが変わったのは見た目だけではない。

 初代でも好評だった後席下の収納「置きラクボックス」は、ついたてを上げて高さのある荷物を固定できる「バスケットモード」が片手でセッティング可能に。インパネはスマートフォンやマスクなどが収納しやすい形状・構造に生まれ変わった。

 全車標準装備の両側パワースライドドアには、ドアが閉まった後の自動施錠を予約できる「タッチ&ゴーロック」機能が追加されたほか、降車時にインパネのスイッチで予約すれば乗車時に電子カードキーを持って近づくだけで解錠しパワースライドドアが開く「ウェルカムオープン機能」も上級グレードに標準装備された。

 上級グレードにはそのほか、軽自動車初となる保温機能付きの「ホッとカップホルダー」や、運転席/助手席シートヒーター、360°スーパーUV&IRカットガラス、電動パーキングブレーキ+オートブレーキホールド機能を標準装備。

 ワイヤレスでのApple CarPlay(Android AutoはUSB)接続や音声認識機能、Qi(チー)規格のワイヤレス充電機能を備えた「9インチスマホ連携ディスプレイオーディオ」をメーカーオプション設定するなど、女性ならずとも嬉しい快適装備が充実している。

 一方、クルマ好きにとって重要な走りのメカニズムは、まったくの別物と言っていいほど劇的に生まれ変わった。

 プラットフォームは最新世代のDNGA(Daihatsu New Global Architecture)に一新され、高張力鋼板の使用部位も拡大されたことで、車重が約50kg軽量化されている。

 エンジンも最新のものにアップデートされるとともに、「初代でもユーザーからの要望が非常に多かった」とダイハツ関係者が口を揃えて強調する、ターボ仕様が初めて設定された。これは、「ターボでなければ一家に1台のクルマとしては使えないと、父親のほうから言われることがあった」(李さん)というのも、理由のひとつにあるようだ。

 このターボエンジンは、高速域でベルトとスプリットギヤを併用する新世代の「D-CVT」と組み合わせられたことで、WLTC総合モード燃費は22.4km/L(FF車。4WD車は20.9km/L)を達成。NA(自然吸気)エンジン車の22.9km/L(FF車。4WD車は21.6km/L)に引けを取らない、高い省燃費性能を得ている。

 その一方で、アクセルペダル踏み始めのレスポンスを改善。また、ステアリングの操舵力を、低速域では軽め、高速域では車速に応じた重さとしつつ、戻す際にもスムースになるよう、電動パワーステアリングのアシスト特性を変更している。サスペンションも「柔らかすぎず硬すぎない、酔いにくい乗り心地・操縦安定性となるよう専用チューニングを施している」(李さん)というから、走りの質感や楽しさもレベルアップしていると期待して良さそうだ。

 予防安全装備が大幅に充実したのも、プラットフォームがDNGAに一新された恩恵のひとつ。最新のステレオカメラを用いた「スマートアシスト」が全車に標準装備され、昼夜とも車両と歩行者に対応する衝突被害軽減ブレーキや、ブレーキ制御付き誤発進抑制制御、車線逸脱抑制機能、標識認識機能などが実装された。

 さらに、全車速追従機能付きACC(アダプティブクルーズコントロール)とLKC(レーンキープコントロール)がターボ車に標準装備、NA車の上級グレードにメーカーオプション設定。BSM(ブラインドスポットモニター)と、専用の電子カードキーによるドア解錠で急アクセル時の加速を抑制する機能が作動する「プラスサポート」が、全車にディーラーオプション設定されている。

 前述のとおり、 リヤにスライドドアを備える背高軽ワゴンは初代ムーヴキャンバスがパイオニアであり、長年にわたり市場を独占してきた。しかしながら2021年9月、スズキからワゴンRスマイルが発売され、今やムーヴキャンバスの前に強力なライバルとして立ちはだかるようになっている。

 そんなワゴンRスマイルに対する新型ムーヴキャンバスの強みは何なのか、李さんに聞いてみると……。

「女性ユーザーに対しこれまで以上に深くヒアリングした結果として、ホッとカップホルダーを新開発したり、電動パーキングブレーキ+オートブレーキホールド機能を設定したりしています。女性のドライバーには、たとえば有料駐車場で駐車券を取る際に発券機へ幅寄せをするのが苦手な方が多いので、そんな時にオートブレーキホールド機能があると、ブレーキペダルを踏み続けなくとも安全かつ楽に駐車券を取れるんですね。そのように、ターゲットユーザーにとって便利という観点から、ワゴンRスマイルにはない技術や装備を盛り込んでいるのは、ひとつのポイントだと思います。ですが、可愛らしいスタイルを持ったリヤスライドドアの背高軽ワゴンという市場が、お互いのふたつのモデルで大きくなってほしいというのが、とくに期待している所です」

 今後は両車が競い合いながら、少しずつ着実に進化していくことを、心から期待したい。


遠藤正賢 ENDO MASAKATSU

自動車・業界ジャーナリスト/編集

愛車
ホンダS2000(2003年式)
趣味
ゲーム
好きな有名人
-

新着情報