性能は互角なのになぜ負ける? 販売台数で明暗クッキリのガチライバル車2組の理由を探った (2/2ページ)

パッケージングに優れる反面、肝心なデザイン面で苦戦

■コンパクトカー:ホンダ・フィット vs トヨタ・ヤリス

 2022年1〜6月におけるフィットの登録台数は、1カ月平均が約4900台だ。ヤリスは約6500台になる(ヤリスクロスとGRヤリスを除く)。ヤリスはフィットの1.3倍売れている。

 ヤリスはハイブリッドになるとWLTCモード燃費が35.4〜36km/Lで、日本で購入可能な4輪車ではもっとも燃費性能が優れている。フィットe:HEVの23.2〜29.4km/Lに大差を付けた。車両重量はフィットに比べて100kg以上軽いから、動力性能や運転感覚も軽快だ。

 その代わり、ヤリスは後席が狭い。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシひとつ少々だ。それがフィットなら握りコブシふたつ半だから、シビック並みの余裕がある。フィットは4名で乗車しても快適だ。

 また、フィットは燃料タンクを前席の下に搭載するから、後席を小さく畳んで大容量の荷室に変更できる。さらに、前後左右ともに視界が優れ、乗り心地も快適だ。

 ここまでフィットの実力が高いのに、販売面で伸び悩む理由は、N-BOXに需要を奪われているからだ。今は国内で新車として売られるホンダ車の内、36%をN-BOXが占めるから、すべてのホンダ車が影響を受けている。

 また、フィットのボディは視界に優れ実用的だが、ヤリスに比べるとカッコ良さがいまひとつ冴えない。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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