速さならいまやATが上! それでもシビック・タイプRが「MT」を採用するワケ (2/2ページ)

ホンダを代表するタイプRだからこそMTを極めた

こだわりのMT

 現在シビックタイプRに搭載されている6速マニュアルトランスミッションは、単純に操る喜びがあるからマニュアルトランスミッションが採用されている訳ではなく、トランスミッション側でも操る喜びを感じられるようなこだわりの開発が行われています。

「クイック感」「ダイレクト感」「スッキリ感」といった数値化が難しいシフトフィールの官能性能にこだわっていて、これらの「○○感」のバランスを高次元で取っているのです。具体的な技術的取り組みとしてこれまでは、ショートストローク化や自動ブリッピング機構の「レブマッチシステム」の搭載、高容量のシンクロナイザーの採用などが行われてきました。

 今回の新型モデルでは、素晴らしいシフトフィールにさらに磨きをかけるために、さらなる軽量化を施したフライホイールや、高剛性化や横方向のレバーのガタつき要素を排除した新設計のシフトレバー構造の採用、5→4といった斜めシフト時のスムース感向上のためにシフトリンク機構を最適化し、シフトゲートのストレート部分を延長するといった事が新たに施されています。

ホンダの意地を感じられるシフトフィール

 パワーとトルクが向上するほど、気持ちのいいシフトフィールを維持するのは難しくなってきます。シビックタイプRも速さを求めたその進化のなかで、増大したパワーとトルクに対応するために、トランスミッションの容量アップやオイルクーラーの装着などが行われてきました。そのようななかでも操る喜びを大切にし、DCTではなくマニュアルトランスミッションにこだわり続け、そして世界一と自負するシフトフィールを進化させ続けたのはホンダのこだわりは、もはや意地と言えます。

 発進のために1速に入れた瞬間にわかるそのシフトフィールは、マニュアル車を運転する楽しみがわかる人ならば、きっと驚くはずです。


西川昇吾 NISHIKAWA SHOGO

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マツダ・ロードスター(NB8C後期型)/ボルボV40 T4
趣味
スポーツ走行、写真撮影、ネットラジオ鑑賞
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