GR86&BRZレースの参戦ハードルと面白さはどのぐらい? 参戦ドライバーに直撃した (2/2ページ)

参戦ドライバーが語る「GR86&BRZ カップ」の魅力とは

 この新型モデルに対して「クルマの剛性感が上がったし、エンジンも2400ccになったことによりパワー不足が補われました。ダンパーを含めて使えるパーツが増えたことでセッティングの大変さは増えましたが、レースのベース車両としては良くなりました」と語るのは、プロフェッショナルシリーズに参戦する井口卓人。

 GR86/BRZ Cupの魅力について「最近はフォーミュラ以外で、ひとりで戦えるレースが少ないですよね。スーパーGTもスーパー耐久も複数のドライバーでマシンをシェアするので、ある程度セッティングの合わせ込みも妥協が必要なんですけど、GR86/BRZ Cupは自分のセッティング能力とドライビングスキルで戦うことができる。しかも、プロフェッショナルシリーズはスーパーGTに参戦しているメンバーで戦えるし、タイヤ競争もありますからね。パーツメーカーも参入しているので過剰になり過ぎている感もありますが、そこが楽しみでもあるし、ドライバーとしてはやり甲斐がありますね」と付け加える。

 一方、クラブマンシリーズに参戦する松井宏太はFCJ、スーパーFJの経験を持つフォーミュラ出身のドライバーで、ヴィッツレースを経て、2017年より86/BRZ Raceにチャレンジ。この新型モデルを使用したGR86/BRZ Cupについて「ディーラーでマシンを買うことができるし、ナンバー付きなので気軽に参戦できるところがいいですよね。それに新型モデルになったことで、パワー感が上がったし、ミッションも強くなった感じがします。タイヤのグリップが下がったので、タイム的には落ちていますが、ガチンコで戦えるので楽しい」と語る。

 同じくクラブマンシリーズに参戦する菱井将文は全日本ジムカーナ選手権でも活躍するドライバーで、「ジムカーナはタイムアタック競技なので誰かとコース上でバトルをすることはないからね。86/BRZ Raceで本格的にレースを始めたけれど、コース上でポジション争いをするのは楽しいし、このレースはマシンを買えば誰でも参加できるので参戦しやすい。クラブマンはタイヤがワンメイクになったことでタイムも3秒ぐらい落ちたけれど、ライフは3倍ぐらい伸びたし、それにワンメイクなのでなかなか抜けないんですけどそこが面白い」と語る。

 ちなみにGR86/BRZ Cupの気になる参戦コストについてだが、ベース車両の販売価格は約334万円で、前述の松井は「カップカーはほとんど何もついていないので、そこからホイールなどの装備品を取り付けていくと工賃を含めて500万円弱になると思います。それにプラスして、レースではタイヤ代や人件費などが必要になってくるので1レースあたり50万円はランニングコストとして必要ですね」と語る。

 つまり、2022年の年間コストとしては最低でも800万円以上は必要になるが、松井によれば「ヤリスカップと比べると予算はかかりますが、ピュアなレースを楽しめるので、良くできていると思います」とのことで、魅力的なカテゴリーとなっている。

 なお、第4戦では松井がクラブマンシリーズで今季2勝目、堤がプロフェッショナルシリーズで今季初優勝を獲得している。


廣本 泉 HIROMOTO IZUMI

JMS(日本モータースポーツ記者会)会員

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