シビックタイプRの走りが激変! N-BOXが静かに! ドリキン土屋圭市も理論派中谷明彦も驚いた”実効空力デバイス”の効果とは (1/2ページ)

ホンダアクセスの実効空力デバイス「シェブロン」ってなんだ?

 日常の速度域でも体感できる空力効果を「実効空力」と呼び、開発のキーワードとしているホンダアクセスが、あらたな「魔法」を生み出した。

「シェブロン(鋸歯)」形状の空力デパイスで、多くのドライバーが体感できる実効効果を生み出すことに成功し、新型シビックタイプRのテールゲートスポイラーに仕込んで発売した。

 そこで、実際にその効果を体感すべく走り慣れたワインディングロードを訪れた。サーキットではなく、あえて公道を走って実効空力を体感することと、その効力を引き出すのが狙いだ。

 試乗現場にはドリキンこと土屋圭市氏も登場。ホンダアクセスのModulo開発アドバイザーとしてさまざまな実走試験を行い、知見も豊富だ。土屋氏からも解説を聞きながらテストドライブを行うこととなった。

 用意されていたのは新型シビックタイプRとなぜかN-BOXも。

 ホンダアクセスからはModulo開発統括の福田正剛氏も同席し、このアイテムに賭ける本気度がうかがえる。

 福田氏は不思議な非売品のパーツを持参していた。それは車体に貼り付けるだけで実効空力効果が得られるという魔法のようなアイテム。三角形のギザギザ形状を繋いだ形状から「シェブロン」と呼び、車体のさまざまな箇所に貼付けるだけで空力効果が得られるのだという。論より証拠で、シビックタイプRに乗る前にまずはN-BOXのルーフエンドに貼り付けるから走ってこい、と。N-BOXのようなボックス状の車体形状では、ルーフエンドに貼ることで車体の横揺れが抑えられ、走行安定性に繋がるという。

 最初はノーマルで走る。N-BOXは走りの質感が高く、自分でも個人所有するほど気に入っているクルマだが、タイヤフィールについては少し思うところもある。また、ノンターボでは上り勾配でパワー不足となりCVTがエンジンを高回転まで引っぱりまわすため、室内はノイジーとなってしまう。

 ノーマル状態を確認したら、次に実効空力デバイスを貼り付けてもらい試走する。「走ったらすぐにわかるよ」、と隣の土屋氏はニヤニヤしている。

 ワインディングロードに出て速度を上げて行くと、「おや、確かに何か違う」と感じた。普通のドライバーはそこで感心するはずだが、筆者としては「何がどう違うか」を徹底的に解明してみたくなる。

 最初に感じたのはタイヤの接地感が向上している、ということだ。

 ノーマルだとサイドウォール剛性がプアなタイヤがバネ上の挙動を増幅し車体が揺れる。しかし、実効空力デバイスを装着すると、まるで高剛性タイヤに履き替えたかのようにサイドウォールの撓みが減少してタイヤの接地性が高まっているように感じるのだ。土屋氏も開発テスト時に目隠しテストを行い「おい、タイヤ替えただろう!」と開発陣を問いつめるほどタイヤ接地感の向上を感じ取ったと教えてくれた。

 次に感じるのは音が静かになった、こと。

 加速して速度が高まるとCVTがエンジン回転を高め騒音が増すのはノンターボのN-BOXの数少ないマイナスポイントだった。それが何故かターボ付に乗り換えたかのようにノイズレベルが低下している。

 出発地点に戻り福田氏にこのインプレッションを伝えると、パソコンを開いてデータを示しながら丁寧に解説してくれた。福田氏の検証データでは、車体ルーフ部の前後端部の揺れが明らかに減少していて、そのデータからは、車体剛性が高まったのと同様な効果でサスペンションフリクションが低減することにより、タイヤの接地性が増し、また車体振動が減少して音も静かになる、ということだった。

 これはまさに実効空力デバイスがもたらす現象で、三角のギザギザ部分の5mmほどの段差周辺で極めて細かい空気渦が生じ、大きな気流の乱れを抑制しボディ振動を減らすことができた結果だという。それが40〜60km/hという常用速度域で体感できるのが、実効空力デパイスたる所以だ。

 確かに40km/h程度の速度でも窓を開けて手を出せば大きな空気抵抗を感じる。車体表面積の大きなN-BOXなだけに、低速でも大きな気流の影響を受けているわけで、実効空力デバイスの効果を感じ取り易かったというわけだ。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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