「ランクル」「タイプR」「フェアレディZ」も新車を上まわる価格の中古が溢れてる! 効果のない「転売禁止の誓約書」を書かせることに意味はあるのか? (2/2ページ)

売るのは自由だが次のクルマを購入できなくなる可能性がある

 今はコロナ禍によって半導体を始めとする各種のパーツやユニットの供給が滞り、納期遅延に関してメーカーを責めることはできないが、プレミアム価格の原因が需給バランスの不均衡にあることは確かだ。そして転売されて、高価格で中古車市場に並ぶのを防ぐため、販売店はメーカーの指示に基づいてユーザーに転売しない趣旨の誓約書を書かせることが多い。販売店では「お客様に誓約書を書いていただくのは心苦しい」という。

 一般的に誓約書は、仕事を発注する側が、受ける側に対して、たとえば秘密保持などを目的に書かせることが多い。販売する側がお金を支払うお客様に誓約書を書かせることは稀で、失礼なことでもあるから、販売店のスタッフが「心苦しい」と思うのは当然だ。せめて表現を一部の販売会社のように「同意書」にすべきだろう。失礼に当たるのは誓約書と同じだが、語感が多少は和らぐ。

 そしてユーザーが正式な手続きを経て購入した(所有権を得た)クルマであれば、誓約書を書かせても、転売を禁止することはできない。この点について販売店に尋ねると、以下のように返答された。

「クルマを現金で販売した場合、車両はお客様の所有になる。従って転売を止めることはできないが、その後のお付き合いには影響を与える。たとえばお客様がその車両を高価格で転売され、中古車販売店にプレミアム価格で並んだ場合、それ以降は弊社での購入を断わる場合がある」。つまり転売がわかったら、そのユーザーとは今後付き合いをしない、という意味だ。

 それなら儲けるためではなく、別の理由で売却したい場合はどうなるのか。ランドクルーザー、フェアレディZ、シビックタイプRなどは、すべて個性的なクルマだ。夫が購入した後で、妻が運転できないことがわかる場合もあるだろう。この点も販売店に尋ねた。

「高性能車の場合、ご家族が運転しにくく感じられ、購入後に手放すケースはときどき発生する。そのようなときは、購入した販売店に相談して欲しい。困っているのであれば、もちろん買い取り、ほかの用途にあった車種に乗り替えていただく。やめていただきたいのは、あくまでも儲けることを目的にした転売だ」。

 誓約書については、販売会社も取り扱いに苦慮している。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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