「めっちゃ可愛いやん」の声が上がりまくり! 事前モニター申込倍率55倍の「1人乗り原付EV」が本気で使えるクルマだった (2/2ページ)

四輪車しか経験がない人でも直感的に操作できる

 前後/左右対称のクローズドボディ構造なのは前述のとおりだが、ドアパネルは左右とも前ヒンジ/後ラッチながら、いずれも同じ金型から作られている。ヒンジとラッチ、いずれの取り付け穴も左右に開けておき、組み付け時に使わない方の穴を塞ぐことで、左右共用を可能にしているそうだ。

 また前後フェンダーは対角線上、つまり左フロントフェンダーと右リヤフェンダー、右フロントフェンダーと左リヤフェンダーのパネルを共用している。そしてこの構造は、平面に作られた窓も同様となっている。

 なお、コンセプトカーの段階では、塗装されたパネルは鋼板、窓はハードコートを施したポリカーボネート製とのことだが、量産モデルでは鋼板製パネルを、より軽量な「アウターが樹脂、インナーが鋼板、内張りが発泡ポリプロピレンのハイブリッド構造とする(楠社長)」計画で、特許の出願も準備しているという。

 ボディ骨格も、現時点では試作車のためスペースフレームだが、量産車では「毎日安心して使ってもらいたいので、細部のクオリティにもこだわって、モノコックボディを国内で製造する(同)」予定だ。

 一方で窓は、「他の部位で、現状よりマイナス100kgの軽量化目標を達成できれば、より安価で耐久性も高いガラス製にしたい」と、楠社長は話している。

 室内に目を移すと、クルマ好きとしてはレカロシート(「試作車のため市販品を取り付けたが、量産モデルはオリジナルにしたい(楠社長)」とのこと)に目が行ってしまうものの、操作系は丸形のステアリングホイールにウィンカー&ワイパーレバー、足踏み式のアクセル&ブレーキペダル、ハンドレバー式のパーキングブレーキ、ダイヤル式のエアコン調整機能など、一般的な四輪車とほぼ変わらない。各部の配置も人間工学的に無理のない設計で、「四輪車しか経験がない人でも直感的に操作できる構造にこだわった(同)」ことが、その作りからも見て取れる。

 そして居住&荷室空間は、大人一人とその荷物を必要充分以上に乗せ(載せ)られるだけの広さがある。また各部の見た目品質も、100万円以下の車両本体価格を目指すコンセプトカーとしては申し分ない。

 リヤアクスルに搭載され後輪を駆動する電動モーターや、リン酸鉄リチウムイオンバッテリーなどのパワートレインは「今後選定していく(楠社長)」というが、後者は「コスト面で有利な車内据え置き型で、充電方式はAC100Vのみ対応可能とする(同)」見込みとなっている。

 一般道での通勤や仕事、買い物専用と割り切れば、これ以上は何も必要ないというくらい充実した内容だ。

 そんな「ミニマム・モビリティ・コンセプト」、1月より100人限定・1万円×2カ月限定で事前モニターを募集開始したところ、2月中旬時点で約5500人もの応募が集まっているとのこと。

 2025年3月のオンライン直販開始を目標としており、「初期受注が好調ならばリース販売や4WD、カーゴモデルの追加も検討したい(楠社長)」というが、それらが実現する可能性は、期待も込めて高いと見るべきではないだろうか。


遠藤正賢 ENDO MASAKATSU

自動車・業界ジャーナリスト/編集

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