新型ではない「VAB型のWRX STI」をモディファイ! SUBARUのラリーへの入魂っぷりが凄い (2/2ページ)

スバルWRXラリーチャレンジ2023にはさらなる飛躍が期待できる

 ちなみに、JN1クラスではタイヤ幅が狭くなったことから、多くのドライバーがドライビングおよびセッティングに苦戦していたが、鎌田は「タイヤの幅が狭くなったけれど、必ずしも横方向のグリップが下がったわけではないんですよね。レグ1はタイヤを温存しながら、これまでとは違ったドライビングを試していました」とのことだ。

 その甲斐あってか、レグ1で実質的に総合7番手に出遅れていた鎌田はレグ2で好タイムを連発。とくに雨に祟られたセカンドループではSS10で2番手タイム、最終ステージとなるSS11ではSSウインを獲得するなど素晴らしい走りを披露し、総合3位で表彰台を獲得した。

 一方、総合7位に終わった新井もレグ1では実質的に総合5番手につけるなど順調な走りを披露している。

 もちろん、シュコダ・ファビアR5を武器に新城ラリーを制したヘイッキ・コバライネンと比べると、まだまだ大きなギャップがあるものの、今大会よりシュコダ・ファビアRally2エボリューションを投入した福永修にスバルの両雄は確実に迫りつつある。VAB型WRXをベースにしたスバルWRXラリーチャレンジは確実に進化を続けているだけに、S4をベースにしたスバルWRXラリーチャレンジ2023がデビューすれば、さらなる飛躍が期待できることだろう。

 本来ならすべてのリソースを次期主力モデルの開発に注ぎたいところであるにもかかわらず、敢えて旧型モデルを進化させたスバル。しかし、その効果は高く、スバルでラリープロジェクトを統括する嶋村誠監督によれば「軽量化とリストリクター拡大の効果を確認できましたし、最初の段階でまずまずの走りができたので悪くないと思います」と確かな手応えを掴む。

 スーパーGTのGT300クラスでは国際規定のFIA-GT3モデルと国内規定のGTA-GT300クラスが激しいバトルを展開しているが、2023年の全日本ラリー選手権のJN1クラスも国際規定のR5/Rally2と国内規定のJP4が激しいバトルを展開。スバルWRXラリーチャレンジ2023はその国内規定モデルの代表モデルとなるだけに、今後もその動向に注目したい。


廣本 泉 HIROMOTO IZUMI

JMS(日本モータースポーツ記者会)会員

愛車
スバル・フォレスター
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登山
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