新型アルファード&ヴェルファイアは誰も到達できない高みに登り詰めた! 中身を分析するとライバルはまだ見ぬ「LM」ぐらい!! (2/2ページ)

今後はレクサスLMがライバルとなるか

 インテリアでは、いきなりの14インチセンターディスプレイ、フルデジタルメーター、ルーフに備わるスーパーロングオーバーヘッドコンソール、左右独立ムーンルーフなどの装備が、先代モデルに差をつける部分だろう。

 さらに、特等席の2列目席は、すでに説明したように、ベンチシートやベーシックなキャプテンシートを廃し、2種類のキャプテンシートのみの設定になるだけでなく、エグゼクティブラウンジシートの快適温熱シートには、新たにオットマン&アームレストヒーター(トヨタ初)が付くほか、リヤマルチオペレーションパネル(脱着式)と呼ばれる、5.5インチのスマホのようなタッチディスプレイまで左右各席に用意されているのだ! ここまで装備に徹底したミニバンはまずない(レクサス版ミニバンLMは別にして)。エルグランドが遠く、霞む内容のひとつと言っていい。

 パワーユニットは、アルファードとヴェルファイアで異なる。アルファードは2.5リッターガソリン(+CVT)、182馬力、24.0kg-m、およびメインパワーユニットとなるはずの2.5リッターエンジン+モーターのハイブリッド、エンジン190馬力、24.1kg-m、フロントモーター182馬力、27.5kg-m、E-Fourと呼ばれる電気式4WDはそれにリヤモーター54馬力、12.3kg-mが加わる。先代にあった3.5リッターV6、301馬力はドロップアウトしている。

 一方、ヴェルファイアのほうは、2.5リッターガソリンがなく、2.5リッターエンジン+モーターのハイブリッド(アルファードと同じ)に加え、スポーティテイストを増したヴェルファイアに相応しい2.4リッターガソリンターボエンジン+8速ATを新設定。スペックは279馬力、43.8kg-mと、トルクの値では3.5リッターV6を凌ぐ強大なトルクを発揮するパワーユニットとなっている。

 ハイブリッドモデルの燃費性能が、先代以上に良くなっているのはもちろんだ。ただ、全長の延長などによって、最小回転半径は全車5.9m。先代はタイヤサイズによって5.6~5.8mだったから、小まわり性ではやや後退している。

 また、ADASと呼ばれる先進運転支援機能については、予想どおり、先代とライバルを圧倒。最新のトヨタセーフティセンスが惜しみなく採用され、たとえばトヨタのミニバンとしてノア&ヴォクシーやシエンタで先行採用されたプロアクティブドライビングアシスト、安心降車アシスト、トヨタチームメイトのアドバンストパーク、高速走行中の渋滞時の低速域で”ハンズオフドライブ”を可能にするアドバンストドライブ(渋滞時支援)などが用意されているのだ。ここまでくると、プロパイロット未採用のエルグランドはもちろん、ちょっと古めのトヨタセーフティセンス搭載だった先代アルファードを先進運転支援機能で大きく上まわることになる。

 つまり、国産ミニバン全体としても、あるいは国産ハイエンドミニバンとしても、一気にライバルなき高みに登りつめたのが、新型アルファード&ヴェルファイアということになる。まだ未試乗だが、「乗り心地の振動を減らした」と説明されているが、先代で気になっていた、2列目上級キャプテンシートのひじ掛け部分の路面の影響を受けやすい振動が、どう改善されているかは、大いに気になるところではある。

 先代以前のアルファードオーナー、VIPなどのショーファーカーとしての需要ならアルファードのハイブリッド、ファミリーミニバンとしてならハイブリッドまたはガソリンの選択。一般ユーザーで、ハイエンドミニバンにもスポーティなキャラクター、動力性能を望むならヴェルファイアのガソリンターボエンジン一択となるのではないだろうか。

 いずれにしても、ライバル対決という企画が成立しないほどの孤高の存在になったのである。唯一、今後のライバルとして見ていいのは、この新型アルファードベースとなるはずのレクサスの国内発売初のミニバン、「LM」 VS「アルファード エグゼクティブラウンジ」の対決ではないだろうか。ただし、価格(LMの予想価格は1600万円!?)には大きな開きがあるようだ……。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

新着情報