天国か地獄かかかった時間は14時間! 東京ー大阪間500km超のEVロングランにWEB CARTOP編集部員が挑戦してみた (4/4ページ)

充電器の出力確認も大切だった

 続いて刈谷でまたもサクラに電気を注ぐ。ところがトイレに行く以外、誰も建物の中に入らず、お土産ものも見ない。EV談義もせずに充電器の前でスマホをイジるのみだ。ついにきたのだこの恐るべき時が! そう、もはや全員、SA・PA巡りも飽きてしまったのだ!

 だが、幸運なことに刈谷SAには観覧車があった! もはやEV長旅のために存在するようなSAじゃないか! というわけで乗ってみることにした。乗り場に行くと、1ゴンドラ4名の文字。我々ツーリングメンバーは5人だ。「あ、ボクはタバコ吸ってます」今日初めてフジタの声を聞いた。

 というわけで、カメラマンのけんけん(宮本)を含めた、石田、ひかぴ、せいけっけの4人でゴンドラへ! 仕事のメンバーで観覧車……EVだからこそ実現した奇跡の体験だ。

 次に停まった鈴鹿では、サクラとソルテラを充電。急速充電器は1器だけのため、30分で車両を交替して充電しなければいけないため、1時間の休憩となる。もう辺りは真っ暗。さらに1時間を持て余し、ひかぴ(乾)に至ってはおかしなテンションになってしまい、鈴鹿がゆえに売っていたタイヤ型ハンドタオルを(しかも2枚!)購入してしまう始末。なんやかんやですでに出発から9時間ほどが経過している。

 徐々にテンションが落ちていくメンバー。そして鈴鹿を出てまもなく、ついにiXが音を上げた! 草津SAでついに充電のときを迎える。当たり前のようにサクラも充電だ。ゆるゆると急速充電エリアにいくと、先客のリーフがいる! 一瞬の絶望ののち、付近を見ると、3器もの急速充電が用意されていることに気がついた! これで2台同時に充電できる。30分の待ち時間で済むわけだ。エライぞ草津SA!!

 だが、ここで痛恨のミスを犯す我々。空いている2器の充電器のうち、1器は44kW、もう1器は90kWだったのだが、何も見ずに44kWにiX、90kWにサクラを繋いでしまった。サクラはどんな高出力の急速充電器でもクルマ側で30kW分しか通さない。一方iXは同じ時間でも高出力なほど沢山充電できるのだ。しかも同じ時間ならかかる金額も一緒! ある意味大損だ。

 そんなミスにももはやぼへーっと座り込む面々。きっと企画会議での発言を後悔しているに違いない。でもEVが悪いんじゃない、サクラはこういう使い方をするクルマじゃないのだ!!

 そこからはノンストップで、ついにインテックス大阪へ到着! 出発から14時間以上! 総走行距離500km超の長旅だった。

 大事なことなので2度言います。EVが悪いんじゃないんです、使い方を考えるべきなのです。あとは走り方、先客がいることもあるのでゆとりをもったドライブ計画、それから急速充電の出力を事前に調べて充電場所を決めるべき、ということがわかった! でも、ホントにけっこう楽しかったですよ……って仲間5人だったからかも知れませんけどね!

闘い終えたスタッフの感想

藤田実寿(フジタ)

 今回の長距離試乗で感じたのはiXの快適さに尽きる。カタログ値で600kmを超える一充電航続距離は圧巻で、1回の充電で走破できたのには感動。豪華で優雅なインテリアも最高。ソルテラも2回の充電で走破できたからまぁ普通に使えそう。本当は3回目以降の充電のキツさをみんなに知ってもらいたかったんだけどね(現在はソフトウエアのアップデートで解消)。サクラはもう遠出には全然向いてない。乗り心地や巡航速度はまったく問題ないけど、どんどん減っていく航続可能距離に心がもちません。

  

乾ひかり(ひかぴ)

 初めてのEVでしたが、どのクルマも違和感なく運転できることに驚きました。また意外だったのはそれほど疲れなかったこと。倍以上の時間がかかるにもかかわらず、疲労度はエンジン車で移動する際とあまり変わらない印象です。思いがけず、こまめな休憩の重要さを実感。普段あまり寄らないSA・PAでのお買い物も楽しんじゃいました。プライベートでここまで長距離移動する機会は少ないし、EVは案外、私の身体やライフスタイルに合っているのかも!

  

清家大翔(せいけっけ)

 いや~、iXの加速、やばかったです! 仕事でスポーツモデルも含めて色々と乗りましたが、やっぱりハイパワーEVは独特。シームレスに続く超絶加速にやられました。最初から予想はしていましたが、サクラは改めてこういう走り方では不利。新東名の区間では航続距離がみるみる減っていくのを見て、精神的につらかった~。ソルテラは普通のガソリン車と変わりなく乗れ、視界も良く、サイズ感がつかみやすい! EV、使い方さえ考えればアリですよ!

  

復路だけ参戦した井上悠大(シャープ)

 編集部がEV相手に格闘してるなか、取材の関係で行きは飛行機で楽々移動~♪ なんかごめんなさい! けど、帰りは約500km、EVを満喫しました! どこから踏んでもトルクフルで、小声でも会話できるほど静かなEVの車内は超快適。行きの飛行機はエコノミーでしたが帰りはビジネスクラスかファーストクラス並みの環境ですね(どっちも乗ったことないけど)。ただ、充電時間がツライ……。次はスポーツカーツーリングなんてどうですか!?


石田貴臣 ISHIDA TAKAOMI

-

愛車
トヨタ・エスティマ(MCR30)
趣味
読書(ミステリーが主)、TVでのサッカー観戦(バルサ/PSG/アルゼンチン代表/UCL全般)、映画鑑賞
好きな有名人
リオネル・メッシ、アラン・プロスト、綾辻行人、有栖川有栖、田中 瞳

新着情報