シェルビーが手がけるとマスタングがこうなる! レースで勝つために生まれた「GT350」とさらに怪物化した「GT500」 (2/2ページ)

355馬力の7リッターV8エンジン搭載のGT500も追加

 一方、ストリート仕様のGT350は、あまりにも騒音や振動が大きかったためにその評価は低く、それに対応してフォードはAT仕様などの、より快適なGT350をリリースしたほどだった。

 GT350は最終的に1969年までマイナーチェンジを繰り返しながら生産が継続されるが、レースによるスポーツイメージの向上という点では、たしかにフォードの戦略は間違ってはいなかった。それは現在でもシェルビーGT350の人気が圧倒的なものであることが証明しているのである。

 さらにもうひとつ忘れてはならないのは、1967年モデルからシェルビーのシリーズに追加設定された「GT500」の存在だ。

 搭載エンジンは428立方インチ(約7リッター)のサンダーバード428 V8。GT350との違いはこのエンジンのみで、355馬力という最高出力は非常に魅力的なものだった。

 ちなみに翌1968年モデルでは、GT500はさらに360馬力仕様に、またGT350も315馬力へとパフォーマンスアップが施されている。

 そしてさらにマスタングのファンを熱狂させたのが、キング・オブ・ロードを意味するKRの称号を得た、「GT500KR」がラインアップに加わったこと。コブラジェット428 V8エンジンを335馬力のパワースペックで搭載しているが、これは過剰な馬力戦争を避けるための策であったといわれている。

 2000年代に入り、再び復活を遂げたGT500とGT350。それはアメリカンマッスルカーの世界が、いつの時代もファンに広く支持されていることを物語る、何よりの証明といえるのではないか。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
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