ホンダの「CMソング」がセンス良すぎないか? ヒットアーティストをいち早く発掘する宣伝部の慧眼 (2/2ページ)

クルマもアーティストも「次のスタンダード」を目指した

 現行ヴェゼルの登場時(2021年4月22日)に藤井 風のきらり(同年5月3日、6th配信シングルとしてリリース)を書き下ろしのCMソングとして採用した経緯を、本田技研工業・日本本部・商品ブランド部・宣伝企画課の野口拓真チーフ(当時)に聞いたことがあるのだが、ホンダの宣伝企画課と広告代理店で議論を重ねた新型ヴェゼルのTVCM曲を担当するアーティストの選定は、なんと2019年末から始まり、新型ヴェゼルの発売1年前の2020年3月、つまりメジャーデビュー日とされている2020年1月24日、1stアルバム「HELP EVER HURT NEVER」発売日の2020年5月20日以前に、アーティスト=藤井 風の登用がほぼ決定していたというのだから、目のつけどころに感心するしかない。

 ちなみに、書下ろし曲ということもあり、きらりの配信シングルスタートより新型ヴェゼルのCM放映のほうが12日ほど早かったのにも注目なのである。ついでに紹介すると、きらりがリリースされた2021年5月3日から5月9日の1週間のBillboard JAPANダウンロードソングチャート“Download Songs”では、「きらり」が3万8418回ダウンロードで、初登場1位をマークしたのだから快挙でもあったのだ。

 とはいえ、ホンダ・ヴェゼルのTVCMは、その時点でなぜ、まだメジャーに上り詰めていないアーティストをあえて採用するのだろうか。ヴェゼルの宣伝を担当した野口さんによれば、「ヴェゼルは次のスタンダードを目指すクルマであり、CM楽曲を担当するアーティストも、次のスタンダードになりうる人をいち早く選んでいる」というのだからさすがである。それはSTAY TUNEと808のSuchmos、Do Well のSIRUP、小さな惑星のKing Gum、HONDAのFriday Night Plansも同様である。

 ホンダ・ヴェゼルの新しいCMソング、世界 feat.Moto from Chilli Beans.& Who-ya Extendedは音楽プロデューサーである蔦谷好位置のソロプロジェクトによるもので、ヴォーカルはMOTOさん。YouTubeでその楽曲制作ドキュメントを見ることができるが、忘れてはいけないのは、そうしたアーティスト、楽曲に目をつけたホンダの宣伝部のセンスのよさではないか。

 2025年4月にプロトタイプを披露し、2025年秋に復活、登場する”元祖デートカー”の新型プレリュードのTVCMソングにどんなアーティスト、楽曲が採用されるのか? にも注目である。宣伝部のCM担当者は相当な音楽好きでもありそうだし……!?


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青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

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スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
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