幼少期の思い出を愛車に
●クラシック ミニ(ローバー ミニ)
・生産期間:1983年5月~2001年6月
・当時の新車の価格:139万円〜359万円
・中古車の平均価格:191.9万円
・中古車の価格帯:55万円~398万円
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いまやMINIといえばBMWグループの1ブランドではありますが、クラシック ミニと呼ばれるモデルの源流は1959年にまでさかのぼります。日本では正規輸入されたり、途切れたりを繰り返したものの、1983年にオースチンローバージャパンが設立され、1990年にはミニクーパーも復活。1992年にはエンジンをインジェクション化。2001年まで生産されます。日本各地にスペシャルショップが存在し、根強い人気を誇ります。
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ゴルフIIと同様に、クラシック ミニも、小さいころからよく見ていたし、大人になってからも街なかを走っている。あれこれ調べはじめるとじつに奥が深い。あまりにも深すぎて沼にハマる。そしてついに実車を手に入れてしまう……のパターンです。全国各地に専門店があり、よい個体と主治医が見つかれば部品は何とかなるし、まわりのベテランオーナーたちが何かと世話を焼いてくれる(笑)。はじめの一歩さえ踏み出せれば、あとは「底なし沼」が待っている魅惑の世界です。
●ジープ・チェロキー(2代目)
・生産期間:1990年1月~2001年9月
・当時の新車の価格:269.8万円〜513万円
・中古車の平均価格:176.9万円
・中古車の価格帯:95万円~249.8万円
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2代目にあたるジープ チェロキーのデビューは1983年。日本では1989年にクライスラージャパンセールスが設立され、正規輸入がスタートします。1993年にはホンダディーラーで購入できるようになり、さらには右ハンドル仕様の輸入が開始されたことで身近な存在となっていきます。1994年モデルのエントリーグレードは300万円を切る価格で販売されていたこともあり、当時の若者でも頑張れば手が届く輸入車として人気を博しました。
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小さいころにアメ車好きのお父さん、あるいはお母さんが乗っていた。自分が大人になってみたらまだ売ってる! しかもお洒落でカッコイイ! ということで、幼少期から家にアメ車がある家庭で育った若い世代にも人気です。ご両親の英才教育の賜物でしょうか。若い男性だけでなく、女性オーナーを見かけたりします。しかも似合う! お父さん世代としては、若いころの今井美樹がこのチェロキーに乗っているのをテレビで観たことを思いだしてしまったのは、いうまでもありません。
●メルセデス・ベンツ ミディアムクラス/Eクラス(W124)
・生産期間:1986年1月~1993年8月/1993年9月~1995年9月
・当時の新車の価格:580万円〜1550万円
・中古車の平均価格:373.5万円
・中古車の価格帯:105万円~1849.9万円
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数あるメルセデス・ベンツのなかでもベストセラーカーとして知られるW124/S124型。デビューは1985年、日本では1986年から販売が開始され、名称がミディアムクラスからEクラスへと変更され、W210/S210型へとフルモデルチェンジした1995年までの約10年間、多くのユーザーに支持されたモデルです。ボルボのエステートモデルと同様に、日本のステーションワゴンブームに貢献した1台であり、いまだに根強い人気を誇ります。
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何も若いうちからメルセデス・ベンツにいかなくても……と思うなかれ。お父さんではなく、おじいちゃんが所有していて、たまに乗せてもらうのが至福のひとときだった……という、何とも羨ましいご家庭で育った若い世代にとって、メルセデスといえばこのモデルなんです。大人になり、このモデルがいかに偉大で、時代を超えて愛される理由を知るにつれ、自分も乗ってみたいと愛車に選びます。流行りのワゴンではなく、あえてセダンに。それはおじいちゃんが乗っていたから。
●見栄でも自己顕示欲でもステータスシンボルでもない。幼少期の原体験がきっかけ
レコード、カセットテープ、ラジカセ、ファミコン。挙げればまだまだキリがありませんが、筆者を含め、幼少期に昭和の時代を過ごした人間からすれば、慣れ親しんできた懐かしいものばかり。いずれも当時の記憶を呼び起こしてくれる愛すべき小道具たちです。しかし、Z世代の人たちにとってはアナザーワールド。生まれたころにはそのほとんどが家庭や市場から姿を消し、実物を見ることすらなく幼少期を過ごしています。そして、大人になって追体験で存在を知り、同時によさを知ったものばかりです。
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今回ピックアップした7モデルを所有している若い世代のオーナーには、共通していることがあります。それは「自分が子どものときに親や祖父母が乗っていた(乗っていたと聞いた)」あるいは「家にあったクルマの雑誌を小さいころに見て以来、いつか乗ってみたいと思っていた」など、幼少期の原体験がキーになっている傾向が強いのです。
自他ともに認めるクルマ好きがいる一方で、ファッションや腕時計など、自分の気に入ったものを身につけたい、所有していたいという人もいます。いずれにせよ、見栄でも自己顕示欲でもステータスシンボルでもない、「自分がいいと思ったモノを、自分の意思で選んでいる」人たちばかりです。
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老害発言であることを承知のうえで。若いときだからこそ乗っておきたいクルマって、あるように思います。別にヨーロッパ車、そして輸入車である必要はありません。ましてやスーパーカーである必要もありません。時間と体力とお金の融通が利くうちに多少でも無理すれば手が届くのであれば、いつかは乗ってみたいクルマを手に入れてみてほしいな……と、老婆心ながらに心から思います。