最近のクルマってダッシュボードの奥が拭けないほど長いのはなぜ? (2/2ページ)

ダッシュボードの長大化は空力特性進化の証

 そんなプリウスにとって、燃費性能の向上に直結する空気抵抗の軽減は必要不可欠、避けては通れない重大なテーマである。

 話は横道にそれるが、燃費性能の進化を命題とするプリウスは、内燃機関(ガソリンエンジン)の熱効率向上もテーマとしてきたモデルで、かつては長らく32〜33が定説となっていた熱効率を一気に40を超えるレベルに引き上げ、さらには50を目指そうという勢いで改善が進められてきた。熱効率とは、燃料をどれだけエネルギーとして使うことができるか、という性能評価であるため、高いほど優れることになる。

 さて、空気抵抗軽減のため、フロントウインドウの傾斜角を浅くしてきたプリウスだが、キャビンスペースを従来型と同等に確保しようとすると、ふたつの選択肢が生じることになる。ウインドウの取り付け前端位置を従来型と同じとすれば、キャビン位置全体を後退させるか、逆にキャビン位置を従来型と同じにしようとすれば、ウインドウの取り付け前端位置を前方向に移動させるか、という選択肢である。

 当然ながら、キャビン位置を後退させる手法は、車体の大型化、重量増につながり現実的ではない。となれば、キャビン位置はそのまま、傾斜角が浅くなったぶんだけウインドウ前端の取り付け位置を前に移動させ、車体の全体サイズを変えずにウインドウの傾斜化を図るという手法がとられる。

 さて、キャビンスペースを確保した上でフロントウインドウの傾斜角を浅くすることは、そのままダッシュボードの大型化を意味することになる。なぜなら、ダッシュボード内に収められる各種メーター類やグローブボックスは、視認性や操作性の関係から前席との距離をこれまでと変えることはできず、その場合、前方に移動したフロントウインドウ下端までを覆うダッシュボードの上面を大きく(前後に長く)せざるを得なくなる。

 最近のクルマ、いい換えれば空力性能を考慮してフロントウインドウの傾斜角を浅くしたモデルが、軒並み前後に長いダッシュボードデザインとなっているのはこのためだ。

 プリウスも含め、空気抵抗軽減(=燃費性能の向上)のため、フロントウインドウの傾斜角を浅くしたフォルムは、フロントエンドからテールエンドまで空気がスムースに流れるスマートでスタイリッシュなフォルムで恰好はよいが、ドライバー席からウインドウ下端までが遠くなり、また手も入りにくくなったことから、ウインドウ内側の拭き上げが少々むずかしくなったことが唯一の難点といえるかもしれない。


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