ミッドシップの86でしかもセンターハンドル&シートって魔改造にもほどがある! 全日本ダートラに登場した「MR86」の戦闘力がヤバい (2/2ページ)

D1クラスでミッドシップのGR86がデビューウィン!

──後ろが重そうなクルマですが、ドライビングフィールはどうですか?

大谷選手:ベースは86ですが、まったく別のクルマです。FR車両よりもトラクションはかかっているし、ブレーキングも安定しています。

──フロント荷重が少なくて舵が利かなかったりしませんか?

大谷選手:トラクションを重視したクルマなので舵は利きませんが、フロントで曲がるクルマではなく、リヤで旋回するように作っています。フロントはコーナーへの進入のきっかけを作るだけなので、考え方はドリフトと同じです。もちろんダートトライアルではドリフトほど角度をつける必要はないんですけど、もともと自分自身、ハンドルを切って走るタイプではないこともあって、リヤで姿勢を作ったり、その姿勢を維持するために、フロントの足まわりを仕上げています。

──車両重量はD1クラスのなかでは軽いほうですか?

大谷選手:1060kgなので、もっと軽いクルマはあると思いますが、重心は一番低いと思います。リヤにエンジンを搭載することで、スバル車よりも低い位置にマウントすることができました。

──なるほど。MR86の最大の武器はトラクションで、ドリフトのような走り方が必要になってくるんですね。ところで、MR86の弱点はありますか?

大谷選手:あえて弱点を探すとするならば、リヤが重いぶん、路面がヌルヌルになってくるとコーナリングでヨーが残った場合、リヤがアウトに行ってしまうことですね。足やタイヤで止めないといけないんですけど、まだ足まわりのセッティングが完璧ではないので、熟成が必要です。

──MR86の全日本デビュー戦は今年の開幕ラウンドのいなべ大会ですが、競技自体は昨年から出ていたんですよね?

大谷選手:テストを兼ねて中国ダートトライアル選手権に3戦出場しました。

──で、3戦目の第5戦で優勝したと思うんですが、まだまだ開発段階ということですか?

大谷選手:2025年まで試作の足まわりだったんですけど、2026年からテインさんがサプライヤーとして開発に参加してくれました。事前にあまりテストはできなかったんですけど、土曜日の公開練習はフィーリングがよかったですね。実際、公開練習は3番手タイムでした。

──ちなみに大谷選手は、たしか、ラリードライバーの奴田原文雄選手が主催するヌタハララリースクールの出身でしたよね? 現在、全日本ラリー選手権で活躍する大竹直生選手と同様に、現役高校生ドライバーとして、ダートトライアルのほか、トヨタGAZOOレーシング・ラリーチャレンジなどで活躍していたと思いますが、そのほかのキャリアはあるんでしたっけ?

大谷選手:本格的に活動していたのはラリーに1年間参戦していた程度で、ダートトライアルも数戦ぐらいしかキャリアはありません。2026年は全日本ダートトライアル選手権にすべて参戦しますが、ホームコースのテクニックステージタカタを除けば、ほかのコースは初めて走るコースなので、クルマの開発はもちろんドライバーも頑張らないといけないと思っています。

 このようにユニークなMR86は、クルマのみならずドライバーもフレッシュな状態だが、そんなMR86×大谷選手はデビュー戦となるいなべ大会で猛威を発揮した。

「タイヤ選択を間違えたこともあって曲がらない状態のなか、自分のドライビングスタイルを貫いた結果、タイムが出ませんでした」と語るように、太谷選手は第1ヒートこそ5番手タイムに留まることとなったが、第2ヒートで躍進。「自分の走りを封印して、タテ方向を意識しながらステアリングやアクセルをコントロールしました。タイヤ選択も足まわりのセッティングもバッチリ。それでもミスが多かったので、勝てるとは思っていませんでしたが、優勝できたのでうれしいです」と語るようにベストタイムを更新し、全日本選手権のデビュー戦で勝利を獲得した。

 まさにMR86、そして大谷選手は2026年の全日本ダートトライアル選手権でD1クラスを語るときには欠かせない存在で、今後もトップ争い、タイトル争いを左右することだろう。


この記事の画像ギャラリー

廣本 泉 HIROMOTO IZUMI

JMS(日本モータースポーツ記者会)会員

愛車
スバル・フォレスター
趣味
登山
好きな有名人
石田ゆり子

新着情報