この記事をまとめると
■全日本ラリー選手権 第5戦「ARKラリー・カムイ」が7月10日〜12日に開催
■最高峰のJN-1クラスにはRally2仕様車/R5仕様車とJP4仕様車も参戦できる
■国際規定モデルのRally2仕様車/R5と国内規定モデルのJP4仕様の特徴を解説
JN-1クラス参戦車両の秘密
全日本ラリー選手権 第5戦「ARKラリー・カムイ」が7月10日〜12日、北海道ニセコ町を舞台に開催。今季初のグラベル戦はレグ1、レグ2ともに雨に祟られ、ウエット路面のなか、激しいサバイバルラリーが展開された。
なかでも注目を集めていたのが、最高峰のJN-1クラスにほかならない。同クラスでは国際規定モデルのRally2仕様車/R5仕様車に加えて、国内規定モデルのJP4仕様車も参戦できることから、今大会にも4台のGRヤリスに加えて、2台のシュコダ・ファビア、そしてシトロエンC3と計7台のRally2/R5がエントリー。さらに新井敏弘選手がドライブするスバルBRZを筆頭に2台のGRヤリスが参戦するなど計3台のJP4が参戦していたのだが、果たして国際規定モデルと国内規定モデルでは何が違うのか?
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ということで、ここでは同じGRヤリスながら、国際規定モデルのRally2と国内規定のJP4を投入するZEUS AUTOMOTIVE CLUB SPORTSのチーム代表、辻井利宏代表を直撃。マシンの改造範囲のほか、気になるコスト面を含めて、それぞれのメリット/デメリットを聞いてみた。
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──まず、国際規定のRally2は自動車メーカーが開発したレーシングカーで、ロールケージなどの安全装備を含めて、エンジンやギヤボックス、サスペンション、デフ、ブレーキ類を含めて、すべて競技用になっていると思いますが、チームで独自にカスタマイズしているところはありますか?
辻井代表:いえ、Rally2ではほとんどのパーツがFIA公認パーツなので、チームとして変更したのはブレーキパッドぐらいです。
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──それに対して国内規定のJP4はベース車両を用意し、チームで独自に開発を行ってきたマシンだと思いますが、現時点の変更点は?
辻井代表:ロールケージなどの安全装備はもちろん、足まわりやブレーキ、クラッチ、あとは排気系なんかも違います。
──エンジンは改造してないんでしょうか?
辻井代表:レギュレーションに合わせて、吸気リストリクターを装着していますが、タービンを含めて基本的にはノーマルです。
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──JP4仕様車といっても、従来の国内規定モデルであるRJ仕様車と似たような感じですが、具体的にJP4独自の改造としてはどのあたりになるんでしょうか?
辻井代表:JP4では安タン(注:競技用の燃料タンクで安全タンクとも呼ぶ)と消火器も3つ装着しなければならないので、うちのJP4仕様のGRヤリスも対応しています。あとはサスペンションのゴムブッシュをピロボール化したこと、リヤとリヤの両サイドのウインドウの材質をガラスからアクリルに変えて軽量化したことぐらいです。
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──なるほど。ウインドウのポリカーボネイト化はレーシングカーっぽいですね。でも、同じJP4仕様車でも新井敏弘選手がステアリングを握っているスバルBRZはかなり大幅な改造をしていますが、ZEUS AUTOMOTIVE CLUB SPORTSのJP4仕様車はかなりマイルドな改造ですよね?
辻井代表:JP4ではパーツの材質変更を含めて大幅な改造ができますが、それにはJAFの公認が必要で、それがチームでなく、自動車メーカーからの申請が必要になります。そういったところから見ると、スバルはいろいろな部分で申請を行っているんでしょう。
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──なるほど。それなら、トヨタがGRヤリス用のパーツの公認を申請して取得すれば、GRヤリスもさらなるアップデートができそうですね。ところで、どうしてもクルマの値段が気になるんですが、それぞれ初期の導入コストはいくらぐらいになるんでしょうか?
辻井代表:気になりますよね(笑)。基本的にはRally2は値段が決まっていて、GRヤリスRally2は35万ユーロで販売されています。つまり、今の為替レートだとだいたい7000万円ぐらい。それにプラスして、スペアパーツやグラベル仕様のパーツを用意していくと、だいたい新車でスタートしようとして1億円ぐらいが初期費用として必要になります。
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──Rally2は家が買えるぐらいの高級車ですね! では、国内仕様のJP4は、どれくらいの初期費用がかかるのでしょうか?
辻井代表:まずはベース車の購入費用が必要ですよね。中古車のGRヤリスでいいなら、だいたい400万円で買えますよね。そこから改造していくことになりますが、パーツ代と製作費を合わせると改造費が最低でも1500万円はかかると思います。改造範囲や使用するパーツにもよりますが、JP4の初期費用は2000万円からが基本になるかなと。
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──Rally2とJP4の初期費用の価格差は約5倍なんですね。ところで、パフォーマンスもかなり違いますよね?
辻井代表:同じドライバーが乗って比較テストを行ったことはありませんが、おそらく同じドライバーが乗った場合、少なく見積もってもタイム的には、1kmあたり2秒以上は違うと思います。
──かなり違いますね。おそらく、Rally2とJP4では、それぞれメリット/デメリットがあると思うんですけど、それぞれ具体的にはどんな特徴がありますか?
辻井代表:Rally2に関してはやはりスピードでしょう。速いドライバーが乗れば勝てるチャンスがあるので、優勝を目指すチームにとっては必要なクルマです。もちろん、ジオメトリーひとつをとっても細かく変更できるので、セットアップは大変ですが、そのぶん、スピードを追求できるのはチームにとっては魅力があります。一方、JP4に関しては、Rally2と比べるとパフォーマンスが落ちるので勝負という面では厳しいけれど、比較的に自由に開発できることから、ダンパーやブレーキなどパーツ開発に役立っています。そういった意味ではサプライヤーと協力しながら開発車両としてJP4を運用していますし、そういうチームも多いです。また、自分たちでマシンの製作も行うので、メカニックのスキルアップにも役立っています。
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──なるほど。Rally2とJP4では、それぞれ役割が違うんですね。
辻井代表:エントリーフィーは同じですし、メカニックの人件費も変わらないので、費用対効果でいえば勝てる可能性のあるRally2のほうがよいと思いますが、それぞれ目的が違うので、同じクラスに仕様の異なるマシンを投入する意味はあると思います。
以上、ZEUS AUTOMOTIVE CLUB SPORTSの辻井代表にRally2の違いとJP4の違いを解説してもらったが、気になる両モデルのインプレッションはどうだろうか?