高性能化・重量増が進むSUVに対応した性能 まず屋内氷盤試験路でトヨタ・ハリアー ハイブリッドの4WDモデルに装着し走らせた。タイヤサイズは225/65R17で、新型iceGUARD 8 SUVと従来型iceGUARD SUV G075を同条件で比較する。最初に感じ取れたのは、絶対的なグリップの高さ以上に、グリップが立ち上がるときのわかりやすさだった。
ブレーキを踏むと、もちろん氷上なのでABSは作動する。しかしiceGUARD 8 SUVではタイヤが路面に引っかかるように捉えている感触が従来型より明確で、減速度の立ち上がりにも安心感がある。ABSにすべてを委ねて止まっているというより、タイヤ自体が氷を掴み、その能力をABSが引き出している印象なのだ。
iceGUARD 8 SUV 氷上ブレーキ 画像はこちら
さらに差を感じたのが旋回だ。氷上でステアリングを切ればタイヤは容易に限界へ達する。しかし新型では舵を入れた瞬間から横力が発生するまでの応答がつかみやすく、フロントが逃げはじめる限界も読み取りやすい。これは単に最大摩擦係数を上げただけでは得られない特性だろう。
AIを活用した開発技術「HAICoLab for 冬テック」を用いてプロファイルを最適化し、ヨコハマのSUV用スタッドレスタイヤ史上最大となる接地面積を実現。従来型に対し3%増加させたという。さらに溝エッジ量は19%増加が路面への引っ掛かりを実感させてくれる。排雪・排水性を確保しながら旋回時にもエッジを利かせる方向性パターンとし、「ラグ溝倒れ込み抑制サイプ」によってブロックの変形も抑えている。
iceGUARD 8 SUV 氷上旋回 画像はこちら
ブロック剛性は16%高められ、ベルト状の大型センターリブや互いに支え合うブロック形状によって重量のあるSUVに対応する。スタッドレスタイヤはサイプを増やせばエッジ効果を高められるが、同時にブロック剛性を失いやすい。iceGUARD 8 SUVはそのトレードオフをかなり巧みに処理している。
屋外の圧雪ハンドリングコースでは235/55R19サイズを装着したメルセデスAMG GLC43 4MATICとマツダCX-60 AWDを走らせた。ここでは新型の別の側面が見えてくる。GLC43のようなパワフルで重量のあるSUVでもステアリング操作に対する応答が曖昧になりにくい。雪上だからといって大きなスリップアングルを作ってから曲がり始めるのではなく、操舵初期から比較的素直にヨーモーメントが立ち上がる。さらにドリフトモードでスリップ率の大きな場面でも抜群のコントロール性で、まるでラリー車のような走りも可能だった。
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一方のCX-60でも、制動からターンイン、旋回、そして立ち上がりへと荷重を移していった際のグリップ変化が穏やかだ。限界を越えた途端に突然滑るのではなく、グリップを使い切る過程をドライバーへ伝えてくれる。だがCX-60では3つのクラッチと4輪のスキッドコントロールとの煮詰めが甘く、タイヤに助けられているような走りだった。
これらは雪道では非常に重要な性能である。4WDだから雪道に強い、というのは半分正しく半分間違っている。4WDが大きな恩恵をもたらすのは主として駆動時であり、曲がる、止まるという運動性能の根底を支えているのは、結局は車の電子制御の熟成度と4本のタイヤなのだ。
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今回のTTCHでの試乗でも、その事実をあらためて強く認識させられた。iceGUARD 8 SUVの進化は、氷上での制動、旋回、圧雪路での操縦安定性、そして重量級SUVを支える剛性感まで含め、ドライバーがタイヤのグリップをより正確に感じ取り、使えるようになったことが大きい。 SUVの高性能化、重量増加、そして電動化が急速に進む現在、冬用タイヤにも従来とは違った能力が求められている。iceGUARD 8 SUVは、その新しいSUV時代に合わせてスタッドレスタイヤそのものを大きく進化させている。