35年以上もカローラセダンを乗り継ぐ男が断言! 次期型カローラコンセプトにみえるトヨタの「過去を引きずらない」覚悟 (2/2ページ)

「過去を引きずらない」新型車開発

 カローラは8代目で息詰まることになる。1995年にデビューした8代目はバブル経済崩壊後に本格的な開発が始まったモデルといえよう。それまでイケイケで成長していた日本経済はバブル経済が崩壊し、以降失われた30年へと突入していく。7代目が当時の初代トヨタ・セルシオ並みのソフトパッドをダッシュボードに採用するなどしていたので、「やりすぎカローラ」などともいわれたほど豪華仕様だったのに対し、8代目はコストを意識した質素なものとなった。

 1997年に大幅なマイナーチェンジを実施し改良前モデルより質感向上がはかられたものの、「カローラもこの代で終売か」という声が内外から聞こえるようになった。そのなか9代目ではエンジンやプラットフォームが一新された。一時は終売ともいわれたカローラは9代目のヒットで新たな時代へ突入していった。そして現行12代目では国内仕様では初めて3ナンバーワイドボディを採用した。60年の間、大きな変化がないわけではなかったのだが、それでも歴代モデルの継承部分があった。だが、次期型13代目ではまさに車名だけ残して全面刷新が図られようとしているものと筆者は見ている。

 国内外で価値観の多様化が進み、世界市場ではその主戦場は新興国となっている。次の60年を考えれば、過去を引きずらない全面刷新モデルの投入は自然の流れのように見える。

 前述したドキュメンタリーでは、開発期間の短縮など新車開発においても新しい試みを行っていることが紹介された。BEVをメインに世界市場を席捲しているのが中国車。中国メーカーの新車開発期間が短いのは有名な話だ。しかも世に送り出してからも消費者の反応次第では短期間で大幅改良を実施するなど、とにかくフットワークが軽快なのは間違いない。

 日本メーカーはいままで慎重な姿勢で確かな製品を世のなかに送り出すことに定評があった。ただドキュメンタリーをみると、「これからもそれだけでいいのか」という疑問が開発現場でも沸き起こっているのだなと考えさせられた。

 個人的には、新車開発の流れの改革や過去を引きずらない新型車ということへの初めての試みがカローラである、ということも大きいように感じている。ラインアップの多いトヨタ車にあって、カローラは原価率の高いモデルと聞いたことがある。消費者にとっては買い得感が高いのだが、開発する側にとってはまさにコストとの闘いがよりタイトになってくる。

 つまり、カローラでどこまで新しいことが実現できるかは、その後のトヨタ車開発へフィードバックされていくだけではなく、トヨタの開発力や次世代に対する覚悟のようなものも感じ取ることができるので、筆者は代々カローラセダンを乗り継いでいる理由のひとつとしている。

 単純に気がついたら60年経ちましたではなく、トヨタの象徴的なモデルとして「カローラでどこまでできるか」ということが、60年間続いてきたといってもいいだろう。筆者が前述したドキュメンタリーを見た感想としては、「どんなカローラが出てくるのだろう」とワクワクするとともに、車名以外はすべて新しいものとなって出てくることを願い、そんな次期型の注文書にサインすることができる日が早く来ることを願っている。


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小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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