15年前にトヨタが作ったEVの大記録! ニュルを「7分47秒794」で駆け抜けた「TMG EV P001」に敬礼!!

この記事をまとめると

■トヨタの元F1チーム「TMG」がEVスポーツカーを試作していた

■1トン以下のボディに375馬力のモーターを搭載しニュルで7分47秒を記録

■EV時代の到来を象徴する歴史的アタックだったといえる

F1の技術でニュルを制圧

 いまでこそEVスポーツカー・スーパーカーが跋扈し、加速性能やサーキットのラップタイム争いもヒートアップしているが、あのトヨタが現在から遡ること15年も前に、EVで歴史の1ページに名を刻んだことをご存じだろうか。

 ドイツ・ニュルブルクリンクの北コース、通称「ノルドシュライフェ」は全長20.8kmにわたり300以上のコーナーが連続する、世界でもっとも過酷なサーキットのひとつだ。高低差300m、最高速300km/h超に達するセクションをもち、「グリーンヘル(緑の地獄)」と呼ばれるこの舞台で、2011年8月29日に1台のEVレーシングカーが歴史を塗り替えた。

 トヨタ・モータースポーツGmbH(TMG)製作の「EV P001」がそのクルマだ。ドライバーはDTMやFIA GT選手権での実績をもつヨッヘン・クランバッハで、記録したタイムは7分47秒794。プジョーが保持していたそれまでのEVコースレコードの9分1秒338を、一気に1分以上も更新する圧倒的な走りを見せた。

 TMGとは、2009年末にF1撤退するまでトヨタF1チームの欧州拠点として活動してきた技術集団だ。F1プログラムで培ったKERS(運動エネルギー回生システム)など電動技術の知見がEV P001の心臓部に直接活かされている。

 シャシーはラディカル社のベースを改修したもので、EVO Electric社製のアキシャルフラックス型永久磁石同期モーターを前後に1基ずつ、合計2基搭載する。システム最高出力は375馬力、最大トルクは脅威の800Nmを発生。リチウムセラミック製で容量41.5kWhのバッテリーを積んだ。

 結果として実現された、0-50km/h加速1.8秒、0-100km/h加速3.9秒、最高速度260km/hというスペックは、当時のEVとしては規格外といえるだろう。当然ながら、それもニュルブルクリンク1周の全開走行に耐える航続距離を担保しての数字だ。強大なモーターを搭載しながらも車両全体の乾燥重量はわずか970kgで、ボディサイズは全長4190mm×全幅1785mm×ホイールベース2338mmとコンパクトにまとめられている。

 TMGがこのプロジェクトで最初に掲げた目標は「電気自動車として初めて8分の壁を切ること」だった。当日は気温も低く路面コンディションも良好で、公道走行可能なタイヤを装着した上での独自計測という条件のもとでのアタックが行われた。

 結果は7分47秒794。目標をじつに12秒以上も上まわる記録だった。TMGのテクニカルディレクター、パスカル・バセロンは「このプロジェクトのゴールはふたつあった。EVカーでのラップレコードを更新することと、電動パワートレインについて極限の環境で学ぶことだ。テスト段階よりも優れたパフォーマンスをEV P001は示してくれた」と語った。

 EV P001が叩き出した7分47秒という数字は、EVモータースポーツの夜明けを告げる一撃だったと同時に、トヨタグループが「電動化の本気」を世界に示した瞬間でもあった。F1で磨いた技術がサーキットを舞台に証明されたこの記録は、EVが内燃機関の世界に本格的に切り込んでいく時代の足跡として、記憶にとどめておきたいところだ。


この記事の画像ギャラリー

新着情報