この記事をまとめると ■トヨタが日本メーカーとして初めてミッレミリア関連イベントに参加する
■イベントには初代クラウンや2000GTなど5台の名車を投入予定だ
■欧州と日本のクルマ文化をつなぐ歴史的なチャレンジとして注目したい
イタリア・ブレシアを日本の名車が駆け抜ける イタリアを舞台に開催される「1000 Miglia(ミッレミリア)」は、世界でもっとも格式の高いヒストリックカーイベントのひとつとして知られている。2026年は6月9日から13日の5日間に渡って開催される。
ミッレミリアのレース風景 画像はこちら
そんなミッレミリア関連イベントに、トヨタが日本の自動車メーカーとして初めて参加することを発表した。
そもそもミッレミリアとは、1927年から1957年までイタリアで開催された公道レースが起源。大会名はレース距離である1000マイル(約1600km)に由来しており、イタリアの風光明媚な景色を駆け抜けるその様子は、フェラーリの創始者であるエンツォ・フェラーリが、「世界一美しいレース」と称したほど。現在は当時の出場車またはその同型車のみが参加できる世界最高峰のヒストリックラリーとして復刻されており、「走る芸術祭」として世界中から歴史的価値をもつクラシックカーが集結する。
ミッレミリア2026のコース 画像はこちら
また、ミッレミリアは、単純に速く走ればいいサーキットレースとは大きく趣が異なる。タイムコントロール・タイムトライアル・アベレージトライアルの3項目での減点の少なさを競う「レギュラリティラリー」形式で行われることも特徴だ。指定された時間・区間を、いかに正確に走り抜けるかが問われる、ドライバーとコ・ドライバーの緻密な連携が求められる競技だ。
そして、今回トヨタが参加するのは、ポリフォニー・デジタルとミッレミリアが共同で実施する「1000 Miglia Gran Turismo Experience(ミッレミリア・グランツーリスモ・エクスペリエンス)」という特別企画だ。同企画は、より幅広い名車に参加機会を与えることを目的に設けられた新たなカテゴリーとなっている。さて、今回トヨタがミッレミリアのために用意したのは、トヨタが誇る5台の名車だ。そしてこれらは、トヨタが「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」の歩みを体現する顔ぶれとなっている。
まずは1955年に発売された初代クラウン。日本人の手による本格的な国産乗用車づくりを象徴するモデルであり、戦後の日本のモータリゼーションを語るうえで欠かせない1台。実際、初代クラウンは豪州一周ラリーや旧日本グランプリなどのモータースポーツで活躍した経歴をもつ。
トヨタ・クラウンのフロントスタイリング 画像はこちら
続いてスポーツ800。通称「ヨタハチ」として親しまれるこのモデルは、航空機技術の応用という先進的な思想のもと、日本の自動車史の初期に誕生した日本のスポーツカー文化の原点となった本格2シータースポーツカーだ。
トヨタ・スポーツ800のフロントスタイリング 画像はこちら
そしてトヨタ2000GT。いまや世界的なコレクターズカーとしても知られる名車であり、1966年の速度記録チャレンジでは3つの世界記録と13の国際新記録を樹立している。映画『007は二度死ぬ』のボンドカーになったことでも有名だ。
トヨタ2000GTのフロントスタイリング 画像はこちら
さらに80スープラも参戦する。この車両は、豊田章男氏が故・成瀬弘氏とともにニュルブルクリンクで走り込みを行った相棒。とくに近年は、映画『ワイルド・スピード』の影響もあって、その存在が再評価されている。
トヨタ・スープラのフロントスタイリング 画像はこちら
そして最後はレクサスLFA。ニュルブルクリンク24時間レースへの参戦を通じて磨き上げられた技術の結晶であり、そのV10エンジンが奏でるサウンドは「天使の咆哮」と称される。世界限定500台という希少性も相まって、いまなお特別な存在だ。
レクサスLFAのフロントスタイリング 画像はこちら
トヨタはこれら5台を通じて、日本が培ってきた技術やモータースポーツ文化を世界へ発信してくれることだろう。
欧州では「現車を当時のまま残す」という車両保存への意識が極めて強く、ボルト・ナット1本に至るまで当時のものを忠実に再現する。ミッレミリアはその精神の象徴ともいえるイベントであり、トヨタは今回の出走を通じ、欧州のクルマ文化をリアルに体感しながら、「クルマをニッポンの文化に!」というスローガンのもと、欧州と日本のクルマ文化の交流と相互理解を深めることを目指す。
「世界一美しいレース」の舞台を、日本の名車たちがどのように駆け抜けるのか。ミッレミリア2026は、ヒストリックカーイベントの枠を超え、日本と欧州のクルマ文化の交流の場としても注目を集めるだろう。