VWポロGTIをガンさんが斬る! 走りを絶賛しつつも「日本の峠でみえた弱点」【ガンさんこと黒沢元治のDPQ:VWポロGTI編】

※本記事は雑誌「CARトップ2023年6月号」の記事を再構成して掲載しています

トルクが十分なエンジンとボディ剛性が素晴らしい!

 今回は、ポロのスポーティグレードであるGTIを評価する。

 まずは、路面の荒れたアクセス路を低速で流すと、いきなり感心させられた。質感が驚くほど高いのだ。これは高剛性ボディでなければ出せない上質さである。

 ワインディング本線に入りアクセルを踏み込むと、エンジンは非常にトルクフルで素晴らしい加速を見せる。そのトルク感からパワーは250馬力ぐらいは出ているのかと想像したが、聞くと200馬力強だという。それでこれだけのトルクなのだから驚かされた。

 闇雲に数値を追いかけるのではなく、低回転からトルクを出し、扱いやすいユニットとしたことは素直に褒められる点だ。また、回転振動も上質で、世界のスタンダードでもある2リッターターボのベンチマークといえる存在であろう。

 一方で7速DSGのギヤ比は、スピードレンジが低く、タイトなコーナーの多い日本のワインディングにはマッチしていなかった。ほとんどのシーンで3速となり、コーナーの進入で2速になかなか落ちないのだ。確かにドイツ本国の道路状況を考えればこれでいいのだろうが、日本で考えるならばもう少しクロスしてほしいところだ。とはいえ、前述したエンジンのトルクに助けられ、コーナーの立ち上がりでの加速にストレスを感じることはなかった。

 ブレーキも高く評価できるポイントだ。ペダルタッチに優れ、さらにペダルの踏力に対する減速度がリニアでコントロール性も十分。この日は外気温が20℃近くまで上がっていたが、長いワインディングを走行してもフェードは感じられなかった。

 ただし気になる点もある。ボクは左足ブレーキを使って走行するのだが、アクセルペダルを踏んだ状態で、左足でブレーキを操作すると、ブレーキオーバーライドで減速が優先となる、とここまではいい。しかしその後1秒程度アクセルのみを踏んでも加速しなくなるのだ。安全性を優先したためだと思われるが、たとえばドライブモードでSPORTを選んだ場合はこれがキャンセルされるなどの工夫がほしかった。

 サスペンションは、フロントがストラット、リヤはトレーリングアームと、小型車のスタンダードともいえる形式を採用。そのレイアウトは優れていて、加減速といった前後の動きに対して反力が発生して車体の動きが抑制され、安定感の高い走りを実現している。ストラットとトーションビームでもここまでできるというお手本になるようなクルマだ。

 ただしダンパーに関しては指摘しておきたい。テンション側はいいのだが、コンプレッション側があまり動かずにコンフォート性の面で厳しい。GTIだからといってしまえばそれまでだが、後席に人を乗せるシーンなどを想像すれば、改善を考えてもいいだろう。

 これを助長しているのがタイヤだ。オプションの18インチだが、燃費を意識したのか、エコタイヤのようにベルト剛性が高く、縦バネが強すぎるのだ。もう少しシットリとした運動性の高いタイヤを履けば、コンフォート性が向上する可能性はあるだろう。

 まとめよう。改善点はあるものの、ボディ剛性、エンジントルク、ブレーキの3つが高い次元でバランスされ、素晴らしいドライビングプレジャーを実現している、本企画にふさわしいクルマだった。

※本記事は雑誌「CARトップ2023年6月号」の記事を再構成して掲載しています


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