選び方ひとつで「家計」へのダメージが変わる! 生活スタイルから考えるクルマの「パワートレイン」6つ (1/2ページ)

身近でスタンダードとされながらも進化し続けている

 クルマを選ぶ時に、あなたは何を優先するでしょうか? デザインやインテリア、価格や安全装備など、いろんな要素があって悩ましいですよね。どれもこれも全てが理想通りというクルマはなかなか見つからないかもしれませんが、そんなとき、今だからこそ悩める要素にもぜひ注目してみて欲しいのです。それは、100年に一度の大変革期と言われるこの時代に、多様にそろったパワートレインの種類です。それぞれ特徴が異なり、ライフスタイルによって合うかどうかも変わってきますので、この機会に一挙ご紹介したいと思います。

1)ガソリンエンジン

 まずは、私たちにいちばん身近で扱いにも慣れている、ガソリンエンジン。近頃はダウンサイジングが進み、昔は2.5リッターくらいの排気量があったクルマも、今では1.5リッターや1.8リッターくらいの排気量で昔と同じかそれ以上のパワーを引き出し、燃費もこの15年ほどで飛躍的に低燃費化がすすみました。コンパクトカーなら1.0リッターエンジンが当たり前になって、燃費は例えばトヨタのパッソなら従来のJC08モードなら28.0km/L、より実用燃費に近い測定値に今後統一されていくWLTCモードでも、21.0km/Lという実力です。

 ガソリンエンジンには自然吸気エンジンとターボエンジンがありますが、大きくわければ燃費優先なら自然吸気エンジン、パワー優先ならターボエンジンがオススメ。ただ、山道など上り坂が多い場所や、高速道路を頻繁に走るようなライフスタイルだと、自然吸気エンジンで高回転を多用して走るよりも、ターボエンジンの方が結果的に燃費がよくなる場合もあります。

 注意点としては、近頃はガソリンスタンドが激減している地域もあり、普段の行動範囲にないと嘆く人も多くなっていますね。燃費の進化とともに、とくにコンパクトカーの燃料タンク容量が小さくなっており、パッソの場合は36リットル。いくら燃費がいいとはいえ、遠くのガソリンスタンドまで頻繁に給油に行かなければならないことを考えると、ハイブリッドやEVなどほかのパワートレインを検討してみるのもいいのかなと思います。

2)クリーンディーゼル

 次に、ガソリンエンジンと同じようにガソリンスタンドで給油をしますが、油種が「軽油」になるのがクリーンディーゼルエンジンです。昔はトラックやバスなど働くクルマに搭載されていて、うるさい、振動が大きい、黒煙を吐くなどネガティブなイメージがあったかもしれませんが、今ではたくさんの乗用車に搭載されて、排ガス処理技術が上がって黒煙を吐くどころか、ほとんど匂いもない排ガスに進化し、CO2排出量ではガソリン車よりも少ないモデルもあるほど。

 大きなメリットはエンジンの低回転から強大なトルクが得られるので、踏み出した直後からモリモリと力強い加速フィールが味わえることです。そのため上り坂の多い場所を得意とし、高速域でも低回転で走り続けられるので、結果として燃費も優秀ということになります。軽油の価格も国内ではレギュラーガソリンより安価なので、燃料費も抑えられますね。

 ただ、デメリットとしては排ガス処理に尿素SCRシステムを使用するクルマだと、「アドブルー」という専用の尿素水を一定の走行距離ごとに補充する手間がかかることです。輸入車はこのシステムを使用していることが多いのですが、アドブルーがなくなるとエンジンがかからなくなるなど、注意が必要です。マツダなど独自の排ガス処理システムを採用しているクリーンディーゼル車では、このような手間はかからないので、購入時に確認したいところですね。

3)ハイブリッド

 さて、この20年でラインアップが大幅に増え、どんなカテゴリーからも選べるようになったのがハイブリッドです。メーカーによってさまざまな仕組みがありますが、ざっくりと言えば、ガソリンエンジンに発電機とモーター、バッテリーを組み合わせて、シーンによってエンジンとモーターでそれぞれが得意なところを担当しながら効率よく走ってくれるのがハイブリッド。ガソリン車と同じ感覚、扱い方で乗れるので、誰でも違和感なく乗り換えられます。

 大きなメリットはガソリン車に比べてさらに燃費がよくなることと、発進直後や追い越し加速など、パワーが必要な場面で電気の力がアシストしてくれたり、モーターのみで駆動してくれることで、なめらかかつ静かな走りが得られることです。電気を使いますが、外部から充電はできず、ガソリンの給油のみで走ります。1回の満タン給油で走れる距離が長いので、よくロングドライブをする人や、頻繁にガソリンスタンドに行けない人にもオススメ。

 ただ、ハイブリッドは減速する際にエネルギーを回収して、加速や電飾品に再利用する仕組みもメリットのひとつなので、渋滞や信号待ちの多い街なかのほうがそのメリットが活用しやすいともいえます。なので、郊外でほとんど信号のない道しか走らない、ほぼ高速道路しか走らない、という人はもしかするとクリーンディーゼルやEVのほうが合っているかもしれないですね。


まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
MINIクロスオーバー/スズキ・ジムニー
趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

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