「失敗する」の声も上がる「クラウンSUV」の噂だが果たして? 大幅「方向転換」で成功を納めた国産車4台 (1/2ページ)

セダンからハッチバックへ大胆なイメチェンを果たしたモデルも!

「いつかはクラウン」、トヨタ乗用車のフラッグシップであり、日本のセダン市場のシンボルともいえるクラウンが、次期モデルではSUVスタイルになるというウワサが流れています。その真偽のほどは別として、はたしてクラウンをSUVに変身させるという商品企画に勝算はあるのでしょうか。

 たしかに、過去にクラウンは2ドアハードトップやステーションワゴンといったボディバリエーションを持っていたこともありますが、4ドアセダンが基本でした。そんなクラウンがSUVスタイルに変身しても成功するはずがないという声も聞こえてきます。

 それでは、過去に大胆なまでにコンセプトやボディスタイルのイメージチェンジをして、成功したモデルというのはあるのでしょうか? いくつかの視点から4つの例を考察してみましょう。

1)トヨタRAV4

 最初に取り上げるのはトヨタRAV4。デビューから一貫してクロスオーバーSUVであることは変わらないように思えますが、キムタクのCMでスマッシュヒットを果たした初代モデルは3ドアだけの設定だったのです。いまでは全幅1800mmを超える大きなボディに成長していますが、当初はコンパクトなシティクロカンといったコンセプトでした。その初代モデルの途中でロングボディの5ドアを設定、北米でヒットするとしだいに巨体に成長していきました。

 また、現行モデルではグレードによっては走破性を重視した駆動系を与えられるなどSUVらしい走破能力も高めています。初代がライトクロカンというジャンルを生み出し、都市型SUVの元祖的キャラクターだったことを忘れてしまうほど、現在のRAV4はマッチョに変身しているのです。そうして世界的に成功したことはご存知の通り。ドラスティックな変化というよりはSUVとしての進化ともいえますが、シティ派からオフロード指向に方向性を変えたことはイメージチェンジの成功例といえそうです。

2)スバル・インプレッサ

 とはいえ、RAV4はボディ形状としては変わっておらず、これではドラスティックなイメージチェンジとはいえないのも事実。そこで、次なる例として紹介したいのがスバル・インプレッサです。初代から2代目までのインプレッサは4ドアセダンを中心に、全長が短めのステーションワゴンというラインアップでした。

 しかし3代目ではWRCで勝てるクルマにするために、また世界的なトレンドにのっとって、ハッチバックを軸に据えたラインアップに変身したのです。現在でもハッチバックのスポーツ、セダンのG4という2つのボディを用意していますが、ハッチバックが中心にあることは変わりありません。3代目のフルモデルチェンジ時に、セダンからハッチバックへと大きく変身したときには、それまでのユーザーから反発もありましたが、結果的に市場はそうした変化を受け入れました。

 むしろ、このセグメントにおいてセダンを軸に展開していたら、けっしていい結果にならなかったであろうことは、セダン中心に生まれ変わったホンダ・シビックの、日本での現状(セダンボディがディスコン)を見れば一目瞭然。ハッチバックを軸にしたことは正解だったといえます。

 さらにハッチバックボディをベースにSUVスタイルの「SUBARU XV」を展開、それが大いに販売を伸ばしたことを考えれば、大きな流れとしては、セダンからSUVへコンセプトを変えて、成功した例といえるでしょう。その意味でいえば、同じくスバルのフラッグシップとしてセダンボディとして誕生したレガシィが、現在はレガシィ・アウトバックというSUVだけに集約されたのも、似たような例といえるのかもしれません。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
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モトブログを作ること
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