高齢者が家族にいるなら絶対ミニバン! 足腰が弱くても乗り降り「楽ちん」な5台とは (2/2ページ)

実際にミニバン5台を比較すると分かりやすい

 では、その証明として、3車それぞれのスライドドア開口部高、ステップ高/段差、ヒール段差を紹介していこう。

1)日産セレナ

 スライドドア開口部高1305mm、ステップ高390mm、段差70mm、ヒール段差340mm。

2)トヨタ・ヴォクシー&ノア、エスクァイア

 スライドドア開口部高1260mm、ステップ高370mm、段差0mm、ヒール段差370mm。

3)ホンダ・ステップワゴン

 スライドドア開口部高1260mm、ステップ高385mm、段差0mm、ヒール段差350mm。

 この筆者の実計測データから得られる答えとして、クルマの乗車時に足を持ち上げにくい高齢者にふさわしいのは、ワンステップで乗り降りでき、開口部高とステップ高がほぼ同じヴォクシーと&ノアとステップワゴンということになる。セレナの場合は、開口部高こそたっぷりしているものの、1段目のステップとフロアに70mmの段差があり、唯一、階段を2段上がるようなアクセスになってしまう。

 そのうえで、より高齢者向けと思われるのが、着座姿勢からより立ち上がりやすいのは、ヒール段差が370mmともっとも高い(ステップワゴンは350mm)ヴォクシーと&ノアとなるだろう。

4)ホンダ・オデッセイ

 とはいえ、Mクラスボックス型ミニバンは好みじゃない……という人もいるかもしれない。その場合の選択肢としては、Lクラスミニバンのホンダ・オデッセイを推奨する。現行型はボックス型と乗用型ミニバンの中間的ボディスタイルのため、スライドドア開口部高こそ1230mmとボックス型のステップワゴンなどにはかなわないものの、ステップ高(後席フロア高)はローダウンサスペンションを奢るアブソルートでは、なんと世界の乗用車でもっとも低い部類の290mm(標準車は300mm)。

 もちろん、段差のない掃き出しフロアである。しかも2列目席のヒール段差は370mmと高めで(ボックス型ミニバンのヴォクシー&ノア、エスクァイアと同一)、フロアに乗り込んでからの乗り降りのしやすさも文句なしというわけだ。

5)トヨタ・シエンタ

 いやいや、もっとコンパクトなミニバンがいい……というなら、選択肢はホンダ・フリードとトヨタ・シエンタが候補に挙がる。どちらも扱いやすさ抜群で、しかし比較的高全高かつ両側スライドドアを備え、2列シートモデルもあるから、なかなかのチョイスになりうるのだが、高齢者を乗せる前提では、シエンタに軍配が上がる。

 理由はまず、掃き出しフロアのステップ地上高。フリードの390mmに対してシエンタは340mmと、ノンステップバス(300mm)並みに低いのである。もちろん、Bピラーにアシストグリップもある。さらに決定的なのは、シートの着座、立ち上がり性である。フリードの2列目席のヒール段差は310mmとかなり低めで着座性、立ち上がり性はいまひとつ。

 一方、シエンタのヒール段差は340mmと比較的高めで、ヴォクシー&ノア、エスクァイアの370mmほどではないにしても、より着座、降車性に優れるというわけだ。とくにシエンタの2列シート仕様=FUNBASEの2列目席は、3列シート仕様とはシートそのものが違い、よりかけ心地が良く、快適に座れ、おすすめである。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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