電気自動車の「将来性」に疑問符! MX-30 EVに乗ったレーシングドライバーの本音 (1/2ページ)

バッテリーを配置することで低重心化が図られる

 マツダの小型クロスオーバー系SUVとして人気を博している「MX-30」にピュアEV(完全電気自動車)仕様が登場した。MX-30はマイルドHV(ハイブリッド)が標準のパワートレインとなっていて、マツダが得意とするディーゼルエンジン(SKYACTIV-D)を設定していないことでも注目されたが、EV仕様の登場で同社の電動化への意気込みを物語っているともいえる。

 中国を筆頭に欧州もEV化を強力に押し進めており、日本も2050年までに「カーボンユートラル」を達成すると目標をかかげるなど自動車の電動化への変革は急務となっている。

 そこで、今回はマツダが投入したe-SKYACTIV搭載のMX-30 EVに試乗しながら、自動車のEV化について私見を述べる。

 まずMX-30 EVだが、EV化のトレンドに則りシャシーフロア下に35.5kwhの電力量のリチウムイオンバッテリーを配置している。フロア下に重量の重いバッテリーを配置することで低重心化が図られ、運動性能、操縦安定性に好影響を与えるのは他社の各EVモデルでも明らかになっている。また前面、側面、後面など各方向からの衝突時のバッテリー保護性においてもベストなポジションといえ各社採用している。

 MX-30 EVではさらに骨格を強化。バッテリーの上下にクロスメンバーを組み合わせバッテリーパック全体としてフロア剛性が高まるよう工夫されているという。その結果、前後横曲げ方向や縦曲げ強度が高まり、シャシー全体の応答性も向上している。

 一方、床下にバッテリーを収納したことで室内のフロア高が高まる。その影響として後席の足おとフロア位置が高くなって後席乗員の足のつま先が前席シート下に潜り込ませられなくなるなど居住空間に若干の影響を与えている。またグランドクリアランス(最低地上高)もガソリンHVの180ミリから130ミリにまで低くなった。見た目はSUVだが、走破性はシティカーのレベルといえる。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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