クルマの肥大化で道路や駐車場が使いづらい! 時代に合わせて「拡大」しない理由とは (2/2ページ)

収益性アップの優先で社会基盤整備は遅々として進まない

 駐車場についても、民間の意思が優先される。たとえば、月極駐車場を経営する立場で考えれば、所有する土地にできるだけ多くの駐車枠を設けたほうが収益は上がる。駐車枠を広げることで、駐車台数が1台でも減れば、その分を儲けそこなうことになる。クルマの止めやすさや、乗降のしやすさより、地主にとっては効率のよい収益を上げることが優先される。

 それは、戸建て住宅の建て替えや、マンション建設、オフィスやホテルなどのビル開発でも同様だ。

 戸建てであれば、一部屋でも多く間取りしたいと思うのではないか。あるいは、リビングは10畳以上の広さが欲しいと思ったりするのではないか。部屋数や、一部屋の広さを削ってでも、車庫を広くしたいと思うのは、一部のクルマ好きだろう。家族の意見は、子供部屋を増やす方に賛成票が集まりそうだ。

 マンションやビル建設においても、部屋数を少しでも多く、あるいは一部屋をできるだけ広くしたいと思うのではないか。それによって、たとえば地下駐車場の通路が狭かったり、駐車枠が高級ホテルでも狭い所があったりするなどとなっている。

 それらは、日本人がクルマ嫌いであるというわけではなく、日本は諸外国に比べ人口の数に対し平地が少ないので、どうしても密集して住むことになり、有効活用できる土地にゆとりがないからだ。

 それでも、災害や消防、あるいは渋滞の解消など含め、改善策は考えられてきた。ただし、実現には数十年という長い年月を要するのである。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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