【試乗】これがホントに最後の2代目カングー! 400台限定の「ディーゼル+MT」は涙が出るほど「らしさ」全開だった (2/2ページ)

太いトルクでゆったりと走る! 日常の足として申し分ない

「ディーゼル+MTのカングー」は、日本でいえば宅配業者や電気工事業者の軽ワンボックスの様な仕様である。だから乗り味はちょっと荒っぽい感じかも、などと想像していたが、実際に乗ってみると、良い意味で予想を大きく覆された。

 このこのディーゼル・エンジンは、1460ccの排気量を持つ「K9K型」という直4直噴SOHCターボで、若干仕様や呼称は異なるものの、これまでカングーのほかにメガーヌやキャプチャー、日産ノート、日産NV200、メルセデス・ベンツAクラスなど、様々なモデルに搭載されてきた実績あるユニット。最新のコモンレール式直噴システムや尿素SCRとDPFを備え、116馬力の最高出力と260N・mの最大トルクを発揮する。

 エンジン音は、アイドリングからしっかり抑えられていて、回転を上げても耳障りなガラガラ音やカリカリ音はまったくと言っていいほど聞こえない。不快な振動もまったくなく、回転は至ってスムースだ。

 このエンジンに最適なギヤ比を採用したという6速MTは、1速はやや低めに感じたが、2速から上は若干ロングな印象で、太いトルクを活かして低い回転数でクルマを走らせる感覚。市街地なら3〜4速だけでほぼカバーできるだろう。

 タコメーターは6500rpmまで目盛りが切ってあるが、デイリーユースではおそらく3000rpm以上回すことはない。1500〜2500rpmには「ECO」と表示があり、2500rpmを超えるとシフトアップ、1500rpmを下回るとシフトダウンを促すシフトインジケーターが点灯するので、常に高効率な運転が可能だ。

 高速道路でも6速100km/hで1900rpmと、エンジン回転数は低く抑えられている。それだけにキャビンの騒音レベルは驚くほど低い。むしろロードノイズや風切り音の方が気になるくらいで、同乗者との会話もまったく支障なくできる。

 ハンドリングは、ゆったりしたリズムで、とくにスポーティではないが、そこもカングーの魅力。急がず焦らず、スローライフを楽しみましょうと、クルマに語りかけられているかのようだ。ただし直進性はとても良く、高速道路でも安心感は非常に高い。

 乗り心地の良さもこのモデルの特筆すべきポイント。装着タイヤは、195/65R15サイズのミシュラン・エナジーセイバーというエコタイヤだったのだが、乗り心地はとてもしなやかで、舗装の継ぎ目でも突き上げを巧みに包み込む、乗員に優しい熟成しきったフランス車ならではの乗り味が味わえた。

 2代目カングーのファイナル・エディション的な今回のディーゼルMT限定車は、日常の足としてとても魅力的なモデルだが、コレクターズアイテムとしても大きく注目されそうな一台である。

 消費税込みで282万円という価格は、通常のガソリン車(まだ若干在庫あり!)と比べるとやや割高だが、おそらくすぐに完売するだろう。気になる人は早めにディーラーに問い合わせた方が良さそうだ。


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