入れる場所がないから普及しない? FCVが普及しないから作れない? 高速道路に「水素ステーション」を作る「想像以上」のハードル (2/2ページ)

圧縮した水素は長時間貯めておくことができない

 ところがもし見込んだFCVが充填に現れなければ、圧縮した水素が失われていくことになる。つまり燃料を無駄に捨てることになる。一方、FCVが訪れてから水素を圧縮したのでは充填時間が長くなる。

 宇宙ロケットの打ち上げに際し、その直前に燃料の水素を充填するのは、水素が長期間貯めておくことのできない燃料だからだ。したがって、打ち上げが延期されれば、水素を入れなおすことになるのは周知のことだろう。

 水素という、もっとも小さく軽い元素を燃料として利用するには、そう簡単に事は運ばないのである。したがって、国内に百数十か所あるとされる水素ステーションも、そのすべてが常時営業しているわけではない。何割かは臨時の設備であったり、営業時間が短かったりして、夜間はほぼ営業していない。

 水素を扱ううえでの課題が山積しており、24時間いつでも対応しなければならない高速道路のSAなどに水素ステーションを開設するのは非常な困難を伴う。その困難さが、一般道を含めた水素ステーション整備の促進が計画通りに進まない理由でもある。

 一方、電気なら、日本全国電力網が整備されているので、電気自動車(EV)への充電拠点は、コンセントを据え付けさえすればどこにでも設置でき、高速道路のSAなどにもすでに整備が進んでいるのである。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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