【いまだに超先進なのになぜ?】ほとんど売れない「トヨタMIRAI」の2代目を出したことに意味はあるのか (1/2ページ)

現状でもまだ課題は残るなかトヨタはさらなる挑戦を続ける

 第46回東京モーターショーで公開された次期MIRAIのコンセプトカーは、現行車に比べ身近な魅力を伝える造形となった。室内にも高級車の趣がある。現行車が未来を覚えさせる造形であったのに対し、次期型は普通の上級車種を目指したようだ。

 性能も改善され、一回の水素充填で走行できる距離が30%ほど伸びるという。水素ステーションがなかなか増えていきにくい現状を踏まえ、少しでも長く走れるようにしたのだろう。生産性も向上し、月販台数1000台の目途が立ったようだ。それが実現すれば、一般社団法人日本自動車販売協会連合会の乗用車ブランド通称名別順位で、50位以内に名を連ねることも夢ではない。

 一方、次期MIRAIの開発が進んでいたことに驚きも覚えた。現行車は2014年の12月に発売されたばかりで、まだ誕生から5年しかたっていない。もちろん、通常の車種であれば4~5年がモデルチェンジ期間だろうが、累計販売台数が世界で約1万台といわれる状況で、なぜ次への移行が行われるのだろう。

 もちろん、現行のMIRAIが上梓されたあとも燃料電池車(FCV)の開発が続いていることは承知しているが、それでもなぜという思いが残る。

 トヨタは、FCVを究極のクルマと位置付けている。それは電気自動車(EV)と同じように排ガスゼロで走るクルマであるからだ。しかし現状、70MPa(メガパスカル=約700気圧)での水素充填には、二酸化炭素(CO2)の排出量を増やすという懸念が払拭されていないし、70MPaで充填するための水素ステーションには500平方メートル(約150坪)の敷地が必要で、なおかつガソリンスタンドのようにビルの1階に併設できないため、土地の価格が高い都市部での設置が難しい。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

新着情報