電動化時代に消えゆく可能性も! 3気筒から16気筒まで各レイアウトの市販車「最強エンジン」を決める (2/2ページ)

これからのハイパフォーマンスエンジンは6気筒が主流!

■6気筒エンジン

 6気筒エンジンについては、3つのタイプ別に世界最高レベルのエンジンを紹介しよう。

 まずは、5気筒エンジンにつづいて世界唯一といえる水平対向レイアウトを採用しているのがポルシェで、911と718系に搭載している。そのなかでもっともハイスペックなのが、911ターボSに搭載されている3.8リッターターボ仕様で、最高出力は650馬力(478kW)、最大トルクは800N・mを発生する。

 さて、直列6気筒エンジンといえば“シルキーシックス”と呼ばれることもあるBMWのストレート6が思い浮かぶ人も多いだろう。そして、現在の市販直列6気筒エンジンとして最強といえるのは、M3コンペティションとM4コンペティションが搭載する「S58B30A」型エンジンだ。3リッターターボエンジンの最高出力は510馬力(375kW)、最大トルクは650N・mだ。

 このようにハイパフォーマンスエンジンというと欧州系の独壇場という昨今だが、純粋なV型6気筒エンジンの最高峰といえるのは日産GT-Rニスモの「VR38DETT」で、3.8リッターツインターボの、このエンジンは最高出力600馬力(441kW)、最大トルク652N・mを誇る。

 とはいえ、V6エンジンについては、F1直系の1.6リッターV6ターボを積むというAMG ONEは1000馬力以上とも噂されているし、トヨタがWECマシンのストリート版として開発中のGRスーパースポーツにも2.4リッターV6ターボが搭載されるとアナウンスされている。

 最後のハイパフォーマンスエンジンとして鎬が削られるのが、V6というカテゴリーなのである。

■8気筒エンジン

 そして、現時点で激しいトップ争いが繰り広げられれているのがV型8気筒というカテゴリーだ。量産車という意味ではフェラーリF8トリブートの3.9リッターV8ツインターボが発生する720馬力(530kW)がトップといえるが、メルセデスのスペシャルモデルであるAMG GTブラックシリーズが積む4リッターV8ツインターボの「M178」型エンジンは最高出力730馬力を発揮。

 さらにマクラーレンの限定車765LTの4リッターV8ツインターボは名前の通り765馬力(563kW)を発生、最大トルクは800N・mというV8カテゴリー随一のスペックを誇る。

■10気筒エンジン

 自動車用エンジンは多気筒になるとV型レイアウト一択で(航空機であれば星形もあり得るが)、当然ながら偶数で気筒数が増えていくことになる。つまりV8のつぎはV型10気筒エンジンとなる。ここでトップとなるのはランボルギーニ・ウラカンEVOの5.2リッターV10エンジン。今回紹介するエンジンで唯一の自然吸気だ。その最高出力は640馬力(470kW)で発生回転が8000rpmというも、ランボルギーニらしい非日常なスペックだ。

 とはいえ市販V10エンジンとして遡ると、2017年まで生産されていたダッジ・バイパーの8.4リッターV10エンジンも忘れることはできない。そのスペックはハイパワー仕様で654馬力(481kW)と排気量にものを言わせた、いかにもアメリカンマッスルカーらしいものだった。

■12気筒エンジン

 V型12気筒においても量産車のトップランナーといえるのはランボルギーニだ。アヴェンタドールの搭載する6.5リッターV12自然吸気エンジンは、カタログモデルで770馬力(566kW)、350台限定のLP 780-4 Ultimaeでは780馬力(574kW)を発生する。

 ただし、これを超えてくるのがイタリアンスーパースポーツの「パガーニ」。AMG由来の6.0リッターV12自然吸気エンジンを積んだパガーニ・ウアイラRは850馬力(625kW)を発生するのだ。

■16気筒エンジン

 このあたりになると車両価格も億単位となり庶民には想像できない世界になってくるが、超高価格なスーパースポーツといえば「ブガッティ」の名前を思い出す人も多いだろう。フォルクスワーゲン・グループに属するブガッティにおける最強モデル「シロン・スーパースポーツ」が積む8リッターW型16気筒ターボエンジンの最高出力は1600馬力、最大トルクも1600N・mと発表されている。

 ちなみに、W16というエンジンはフォルクスワーゲン・グループだけが量産しているもので、各バンクにオフセットして8個のシリンダーを配置したもので、V型エンジンを短くしたようなレイアウトになっている。そして、バンクあたり2個のターボチャージャーを置いたクワッドターボ仕様というのも、まるでゲームの世界のようで、庶民には想像できない世界のエンジンなのである。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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