トヨタの「水素」への本気度が凄い! カローラH2コンセプトをたった2カ月で大幅進化させて走った (2/2ページ)

5時間のレースで85ラップを消化!

 事実、予選中のベストタイムを見てもST-Qクラスに参戦したカローラH2コンセプトは、ロードスターの456号車がマークしたST-5クラスのトップタイムである2分12秒217を抑えて2分09秒992をマークした。トヨタ86の310号車がマークしたST-4クラスのトップタイム、2分06秒574に迫る勢いとなっている。

 カローラH2コンセプトは決勝でもトラブルに見舞われることなく安定した走りを披露。ガソリンエンジン搭載車に対して、水素エンジン搭載車は、ピットストップの際に水素ステーションで水素を充填し、その後、ピットへ移動してタイヤ交換やドライバー交代を行うことからピットストップの時間が長く、総合順位では下位に沈んだものの、それでもカローラH2コンセプトは雨で幕を開け、その後、霧の影響により1時間に渡って赤旗により中断された5時間のレースで85ラップを消化してチェッカーを受けた。

「ガソリンエンジン車より水素エンジンのほうが外気温の影響を受けやすいのかも」と予選を終えた佐々木はエンジニアに対してチェックを促していたが、その一方で「ガソリンエンジン車はガソリンを満タンにするとか重たいけれど、水素エンジン搭載車は水素を満タンにしても7kgぐらいなので、まったく重くならない。1回のスティントに対して最初から最後までフィーリングがかわらないので、そのあたりも特徴かもしれません」と水素エンジン搭載車を分析する。

「5時間のレースですが、今回の仕様も24時間レースで戦える状態です。水素の噴射圧など、富士の時は余裕を持っていたんですけど大丈夫だということがわかってきた。前回の富士がガソリン車に対して8割だった出力を今回は9割にしました。次で並びたいし、最終戦では燃費を犠牲にすることなく、ガソリンエンジン車を出力で超えたい」とエンジン開発を担当する山崎大地氏。わずか1戦だけの経験で大幅な飛躍をとげているだけに、今後もカローラH2コンセプトの動向に目が離せない状況が続きそうだ。


廣本 泉 HIROMOTO IZUMI

JMS(日本モータースポーツ記者会)会員

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