SUVブームでも消えない欧州! 絶滅寸前の日本! 「国産ワゴン」人気が衰退した理由とは (2/2ページ)

欧州ではSUVブームでもステーションワゴンは消えず

 このワゴンのメリットを裏付けるのが欧州車の動向だ。メルセデス・ベンツ、アウディ、BMW、フォルクスワーゲンなどには、今でもワゴンが豊富に用意されている。

 欧州では高速走行の機会が日常的に多いため、低重心で走行安定性の優れたクルマが好まれる。そのためにビジネスにおいても、荷物を積みやすいワゴンが使われている。前述の通り欧州車のワゴンは日本へも多く輸入され、今のワゴンの選択肢は、日本車よりも欧州車が圧倒的に上まわる。

 日本のメーカーでは、スバルがレオーネの時代からワゴンにこだわってきた。レガシィツーリングワゴンで市場を確立させ、今でもレヴォーグを主力車種に据えている。

 スバルがワゴンに力を入れる理由は、クルマ作りの考え方が欧州メーカーに近いからだ。安全性に影響を与える走行安定性と乗り心地のバランスを重視するから、カテゴリーとしてはワゴンが最適で、ブランドの表現手段にも使われている。

 そしてスバルは、SUVについても1995年から、レガシィツーリングワゴンをベースにした低重心のアウトバック(当時の国内名称はレガシィグランドワゴン)を手掛けている。フォレスターも初代と2代目は、ワゴン風のボディ形状で、全高を1600mm以下に抑えていた。

 つまりワゴンを手掛けるか否かは、そのメーカーやブランドの安全意識も反映させている。そういう意味でも、各メーカーともにせめてコンパクトとミドルサイズの2車種くらいはワゴンを用意すべきだと思う。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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