いまだ全盛なのは日本だけ! 自動車のトランスミッション「CVT」の未来は非常に厳しかった (2/2ページ)

CVTは小排気量車と組み合わせればメリットを見出せる

 自動変速ミッションは、一般的にいわれるAT方式(トルクコンバーター+ギア式変速機)に対し、CVT(ATという言葉自体が自動変速の意味なのでCVTもAT方式なのだが……)が新たなシェアを取り込もうと善戦した時期もあったが、現在は中大型車はAT方式、小排気量車(とくに軽自動車)にはCVTが向くと判断されている。構造的には、金属ベルトとプーリーを使う方式が一般的で、エンジン/ミッションともに横置きのレイアウトで使われる。

 これに対し、縦置きエンジン/トランスミッションのレイアウトに対応したCVTとして、インプットディスクとアウトプットディスクの間にパワーローラーを配したトロイダルCVTが考案されている。もう少し詳しくいうと、フルトロイダル型とハーフトロイダル型が考えられたが、安定した作動を確保するためのメカニズムが複雑であること、また、コスト的に高額となることから姿を消している。

 日産が開発したエクストロイドCVT(ハーフトロイダル型の発展型)は、Y34型セドリック/グロリア、V35型スカイラインで採用されたが、やはりトルクコンバーター+多段ギヤ式による通常のAT方式と較べて割高で、さらにトラブルも多く発生したことから2005年いっぱいで採用は終了している。

 CVTのメリットは、小型車(小排気量エンジン)で採用した場合、変速比を大きくして発進加速性をよくすると同時に、巡航時は変速比を小さくしてエンジン回転数を下げる設定ができるため、動力性能と燃費性能の両立が可能で効率的と考えられている。また、現在では燃費性能は二酸化炭素の排出低減といった意味にもなり、環境性能も含めて効果的なトランスミッションとも考えられている。

 一方、中大排気量エンジンとの組み合わせでは、通常のAT方式が多段化され、合わせて変速制御が高度化されたことなどから高性能化を果たし、性能的にもコスト的にもCVTの存在意義は失われてしまった。さらに、デュアルクラッチ方式の高性能ミッションも実用化され(セミオートマというか、機能的にはセミマニュアル)、CVTの必然性は見当たらない状況となっている。

 現在は、小排気量エンジンとの組み合わせでメリットを見いだせるCVT方式だが、今後パワープラントが電気モーター化される流れを考慮すると、自動変速トランスミッションはトルクコンバーター+ギヤ式、変速段数は3〜5段程度が主流となりそうだ。


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