「年グルマ」に選ばれた日産ノートシリーズ! 「かなり違う」4モデルの選び方 (2/2ページ)

スポーティなNISMOとプレミアムなAUTECHが揃う

 そんなノート、オーラとともにラインアップされるのが、まずはオーラNISMO。基準車のノートオーラからして、もはや先代ノートNISMOより速い(Sを除く)のだから、新型オーラNISMOはさらなる特別感が不可欠。エクステリアのカッコ良さ、完成度はハンパではなく、基準車のノートオーラに対してエクステリアではNISMO専用フロントグリル、バンパー、サイドシルプロテクター、リヤスポイラー、リヤバンパーなどから、オーラとは別の専用17インチタイヤ、ワイドリムの7Jホイール、フロント&リヤLEDフォグランプなどを装備。前後オーバーハングも延長し、各所にレッドのアクセントカラーが施されるとともに、前後バンパーのセンターにNISMOのエンブレムを配置。一目でNISMOと分かる特別感、存在感、迫力が際立つ。

 注目すべきは空力性能で、0.30のCD値はノートオーラと変わらないものの、CL値(クルマを浮き上がらせる力)はノートオーラの0.11から0.03まで低減。つまり、ほぼゼロリフトボディによる操安性の向上、シュアな操縦性が期待できるというわけだ。

 インテリアにしてもブラックとレッドのレーシーな世界が演出され、専用のレッドセンターマーク入りアルカンタラ巻きステアリング、シート表皮(オプションでレカロシートもあり)、さらにレッドのスターター&ドライブモードスイッチ、レッド基調のメーター、そしてNISMOエンブレムがあしらわれる、ステアリングを握っただけで気分が高揚するようなコクピット空間となる。

 パワートレインのスペックは1.2リッターエンジン、モーターともに基準車のノートオーラと変わらないものの、ドライブモードは専用で、なんとエコモードがノートオーラのスポーツモードとなるセッティング! さらにもっともスポーティなNISMOモードは実際に走ることができるドライブシミュレーター(長さ45m、幅15m)と熟練テストドライバーによる、約100パターンの評価からチョイスされたスペシャルスポーツモード。

 シャシーもNISMO専用のチューニングとなり、タイヤ&ホイールはもちろん、ローダウンサスペンション、モノチューブ式リヤショックアブソーバー、EPS、VDC/インテリジェントトレースコントロールなどにまで手が入っているのだからすごい。

 走らせれば、すべてのドライブモードで車体の前後バランスの良さ、接地性抜群の安定感たっぷりの気持ちよいスポーツドライビング、タイトでフラットな乗り味を満喫できる。意外なのは山道を含めたスポーツドライビングシーンで、エコモードでの走りやすさ、運転のしやすさが光ること(エコモードでもスポーティかつスムースに速い)。

 NISMOモードは運転上級者向きの設定のようで、街中では多少のギクシャク感を伴うほどアクセルレスポンスが鋭く、低中速域でのアクセル操作にシビアさが要求されるからである。とはいえ、このNISMOは国産コンパクトカーの中でも、プレミアム感際立つ真正ホットハッチであることは間違いなく、NISMOファンの期待に大きく応えてくれるに違いない。

 そんなノートシリーズには、さらにノートのプレミアムバージョンとして、AUTECH(オーテック)が手掛けたノートAUTECHシリーズがある。ノートとそのクロスオーバーモデルが揃い、クロスオーバーはノートに対して車高を25mm高め(大径幅広タイヤで5mm、サスペンションで20mm)、エクステリアのSUV化(微小)はもちろん、専用の足まわり、パワーステアリングを与え、真打ちと言える4WDも用意する。

 ただし、最低地上高は145mm、4WDで150mmにとどまり、4WDはたとえばエクストレイルのインテリジェント4×4のような、悪路走行に特化したメカニズムではなく、電子制御4WDシステムは後輪も回生し、リヤ駆動を積極的に使う、主にオンロードのダイナミクスに振られたノート同様の4WDであると理解したい。FFより乗り心地(これは車重増も影響している)、とくにフラット感、走りの質感で上まわることに大きなメリットがある4WDだとも言い替えられる。

 ただ、内外装のクロスオーバー感は最小限、というか控え目すぎ。そこは好みがわかれるところだろう。

 いずれにしても、ノートのe-POWERがもたらす電動コンパクトとして誰にでも薦められる高い商品力、安心・安全装備の充実度、そしてオーラの国産車初と言っていい真のプレミアムコンパクトの完成度の高さは、なるほど、日本カー・オブ・ザ・イヤー受賞に相応しいと思える。ノート、オーラともに、ガソリン車乗りの電動車デビューの1台としても最適である。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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