じつは日本の匠が作ってる! F1への独占供給も決定した世界的ホイールの「BBS」とは (2/2ページ)

民生品もモータースポーツ専用品も富山県の匠が手掛ける

 では、BBSとは、どういった会社なのか?

 筆者はBBSの親会社の会長から、詳しい話を聞いている。BBSの始まりは、1970年代のドイツ。バウムガルトナー氏とブラント氏が共同で設立したため、ふたりの名字の頭文字からBBSと名乗った。

 80年代から90年代にかけて、日本を含めてグローバルで高級スポーツカーから大衆車まで、チューニングブームとなったことで、BBSの高性能ホイールの需要は急拡大していった。

 世界的にBBSの名が広まった背景には、アルミニウム鍛造の技術がある。その技術を支えてきたのが、富山県にあるワシマイヤー社だった。だが、2000年代以降に高級アルミホイール市場は多数のブランドが乱立状態となったことなどから、同社の経営状況は悪化し、2012年に会社更生法の適用を申請した。その後、福井県坂井市に本社を置く、土木建築関連の用品を自社開発する前田工繊(まえだこうせん)がBBS関連事業を買収して、数十億円単位での投資により製造設備や塗装設備を増強した。

 前田工繊の創業者で会長の、前田征利会長は「鍛造ホイールのみならず、我々は自らの発想で新しい市場を開拓している」とさらなる事業の成長に向けた意思を示している。日本の匠の技が活きるBBSが、世界のモータースポーツで活躍することは、日本人として誠に誇らしい限りである。


桃田健史 MOMOTA KENJI

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